となりの脳世界:村田沙耶香著のレビューです。
☞読書ポイント
感想・あらすじ
もう村田さんについては、何を語られても驚かないぞ!っていう心持ちなんで、本書を読み始めるときも、「驚かない、驚かない」ってちょっとした暗示をかけて挑んだのです。.......ですが、やっぱり「ひょーーーー」と、思わず声が出そうになり、やはりこの方に挑んでいくこと自体が大きな間違えであった。惨敗。
ということで、本書は村田さんのことをご存じの方も、村田さんのことに興味がある方にもおすすめなエッセイ。装丁画の通り、村田さんの頭の中をじっくり観察できる1冊と言ってもいいくらい、あらゆる角度から「村田沙耶香」をウォオッチング!
色々なところに掲載されたエッセイを寄せ集めたので、内容もボリュームもまちまちですが、これはこれで「次は何の話が来るか?」と、退屈することなくサクサク読める。
今回は大きく4つのパートに分かれている。
読んでいるとバラバラなエッセイに見えたのですが、一応、このように分けられていて、読めば概ね「村田沙耶香の魅力」が掴めるのではないかと思う。やっぱりちょっと、いや、かなり不思議ちゃんの芽は、小さいころからあったのだなと感じるシーンが多数目撃?できる。非常にローテンションである雰囲気のなかに潜むぶっ飛び感.....ってなんのことやらですが、これは村田さんの作品に通ずるものがあって、妙な納得感が得られました。
印象的だったエッセイは、「走らせている人」たち。これは是非読んで、自分がどちら側なのか知って欲しい。というか、私は「なんだそれ?」って感じでしたが、本当にみんなそんなことしているの?って。村田さんだけじゃないのか?という疑惑の目。でも、みんな隠しているだけで、本当は.....。ええええーーーーって感じでした(笑)
「コンビニエンスストア様」は、村田さんのコンビニ愛が詰まったコンビニ様へ宛てたお手紙。村田さんとコンビニの歩みが分かるようなちょっと面白いテイストの手紙。
「間違い感動」では、全長1mのクリオネの標本を見て「想像していたよりずっと大きい」って勘違いする村田さん。このあたりの天然エピソードはクスクス笑える。一緒にいるお友達はツッコミどころ満載であろう。
ということで、村田ワールドはエッセイであれ小説と同じ、色々な意味で目が離せないものでありました。どこかで似たような方がいたなぁ...と考えていたところ、辛酸なめ子さんが浮かびました。見た目の雰囲気もなんか似ているような。お二人が対談されたらどんな感じになるのだろう。....どこかで企画してくれないかな~。異次元の世界が覗けそうです(笑)
村田沙耶香プロフィール
1979年、千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年、『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。2009年、『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年、『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年、『コンビニ人間』で芥川賞受賞。同作は累計発行部数100万部を突破した。その他の著書に『マウス』『星が吸う水』『タダイマトビラ』『地球星人』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』などがある。(Amazonより)
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なめ子さんの世界も独特な雰囲気があります。このタイトル!(笑)