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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【感想・あらすじ・レビュー】もっと悪い妻:桐野夏生

 

 

もっと悪い妻:桐野夏生著のレビューです。

☞読書ポイント 

桐野作品には珍しい短編集。いつもの毒々しい重めの話とは対照的な小説といったテイスト。どの作品もサラッと読めるので、初めて桐野さんの作品を読む人向きとも言える。ドロッとした作品を読みたい方は長編の方を。

 

もっと悪い妻 (文春e-book)

もっと悪い妻 (文春e-book)

 

感想・あらすじ 

桐野さんの小説と言えば分厚い小説といったイメージがあるだけに、図書館で受け取った時の本の薄さに思わず「え?」となった。しかも読み始めて短編だと気付き、またまた「え?」となったのです。あれれ、桐野さんの短編っていつ以来だろう?記憶を辿っても思い出せない(笑)

 

 

 

 

ということで、なにもかもが新鮮です。なんとなく桐野さんの作品には、社会の底を這うような小説をいつも期待している自分がいたことに改めて気づいたわけですが、本作はそういった意味でちょっと肩透かしでした。読み易いし、読んでいるときはそれなにりに面白くあっという間に読めてしまったのですが、こうして感想を書こうとすると内容がさっぱり思い出せないという。なにか淡いシャボン玉のような作品たちだったなあと。

 

「悪い妻」という言葉がタイトルについていますが、むしろ本作に出て来る男性の方が「まったく、だらしがないぞ!」と言いたくなるような芯がない男たちが多い。、例えばちっとも育児の協力をしないバンドヴォ―ガルの夫。家庭を顧みずバンド活動している。しかもバンド仲間は彼の妻の悪口をライブハウスでネタ的にしゃべりまくっている。それを良しとしている夫に対して、妻はある行動に走る。子供を近隣の人に無理やり預けてまでも駆けだした彼女はどうしたか?

 

表題作の「もっと悪い妻」は、いわゆる「どっちも好き」ってやつで、妻は元カレと夫の間を平然と行き来する。しかも夫公認なんですよ。

 

って!凄い理屈ですよね。そんな状況なのに、夫は別れないと言う。まぁ、夫婦のカタチはそれぞれで、他人がとやかく言うものでもないけど、ここまで当たり前のように動ける妻って実際居るのか?居ないのか?なんかモヤっとします。

 

 

 

 

全体的に結論を求めるような話ではないだけにラストはスッと終わってしまうものだから、読んだそばから印象が薄れてしまう。ゆえに時間が経つと内容が思い出せなかったりするのです。桐野さんもこういう作品を書くのだなぁ~と言うのが率直な感想です。

 

ただ、あまり難しいことを考えず読書したいなんて時には良いかもです。ディープで毒っけを含む桐野作品のファンは、ちょっと物足りなさを感じるんじゃないかな。また長編を待つとします(笑)