NHKの「ひるまえほっと」内で、女優・作家である中江有里さんが紹介した本を掲載。
番組内のコメントや私のコメントを添えて掲載しています。
番組コーナー紹介文
月に一度のブックレビューです。案内人は女優で作家の中江有里さん。年間300冊の本を読む中江さんが、幅広いジャンルからご紹介。あなたも夢中になれる1冊に出会えますよ!
今回のテーマは、スタート
- 渋沢栄一「青淵論叢」道徳経済合一説:渋沢栄一
- story for you:講談社編
- ぼく自身のノオト:ヒュー・プレイサー
- 料理と利他:土井善晴・中島岳志
- 三度目の恋:川上弘美
- マナーはいらない:三浦しをん
- 9月9日9時9分:一木けい
渋沢栄一「青淵論叢」道徳経済合一説:渋沢栄一
中江さん:
渋沢栄一が残した倫理観、経済観、政治観、人生観、多岐に渡るテーマについて講演されたものをまとめたもの。現代語訳に訳されていて、とても分かりやすい。そして、これから何かスタートする方にメッセージとして非常に響くものが多いなと思います。
story for you:講談社編
中江さん:
昨年のコロナ禍の夏休みにひとつずつ作家の方がupした掌編小説なんですけど、3分で読める物語って意外にないんですよ。3分で読めるからこそ、1日の終わりに気持ちを切り替えるのにとてもふさわしい1冊だと思います。
ぼく自身のノオト:ヒュー・プレイサー
中江さん:
1979年に日本で出版されて復刊した1冊なんですね。名もなき青年の内面を吐露するといったもので大ベストセラーになったんですけど、今にも通じるようなとても個人的な悩み、自分自身って何なんだろうって言うことを考えたい時に開きたい一冊です。
料理と利他:土井善晴・中島岳志
中江さん:
料理研究家として土井先生はみなさんご存じだと思うんですけど、レシピに縛られない、いい加減でもいいよっていうメッセージも響きます。「料理と利他」、利他っていうのは、他人の幸福を願うってことでもあるんですけど、それがどう繋がっているのかっていうことを、政治学者の中島さんとの対談が非常に面白いし、料理することが楽しくなるなって一冊です。
三度目の恋:川上弘美
中江さん:
恋愛小説なんですけど、1000年の時を超えて、平安時代の貴族であったり、江戸時代の遊郭であったり、そして現代と、恋愛の価値観もどんどん変わって行ってるんですよね。今の価値観にとらわれて苦しんでいる人たちにとって「あ、こういう愛もあるんだ」って教えてくれるような非常にトキメキを感じる1冊です。
マナーはいらない:三浦しをん
中江さん:
私も小説を書いていますけど、コロナ禍が長くなっておうち時間が長くなる。読むことも多いのですけど、書く方も増えたとよく聞く。SNSなどで短い文章を書く方いる。
書くってことの奥深さを、三浦しをんさんが教えてくれる、しかも解りやすく、楽しくっていうのがこの本のポイントなんです。書き方が解かると、読み方が変わって来るって言うこともあるんです。(中略)
三浦さんってやっぱりすごいなって、私、再確認しました。読むことが深まって行く、そうすると、書き方もどんどん変わって来るし、やっぱ書くと読むってすごく関係性が深いもの。書けるようになると、読むことも楽しめるし、読めるようになると、書くって言うことの奥深さを改めて確認できる。 (以下略)
こちらの本はわたしも読みました。レビューはこちら
9月9日9時9分:一木けい
中江さん:
一木さんがバンコクにお住まいだってことがよく解りました。国民性みたいなものも非常に色鮮やかに描かれているなと思った。例えば曜日とかに色があるってうのは、初めて私知ったんですけれども、月曜日は黄色で国民が大事にしている。なるほどなぁという情報もありつつ、単なる恋愛小説ではない。非常に読む前と後の印象が違う。主人公は高校一年生の女の子。色々社会問題とかも関わって来る。家族や深刻なテーマが盛り込まれている。その中でも瑞々しい描写と彼女の感性みたいなものが表れていて、キュンとさせられるところと、現実上手くいかないってっ部分、主人公の成長を感じさせられる。
ただ単に若い人に当てた小説ではない。普遍的なテーマもかなり含まれていますし、一木さんの感性の豊かさっていうのがね、恋に落ちる瞬間のシーンは撃ち抜かれる感じがしました。そこは是非読んで確認していただければと思います。
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<感想>
ブックレビューのコーナーは久しぶり!って思ったら、なんとリニューアル。男性の司会と、書店員さんが中江さんをサポート。そして、紹介される本も多くなりました。5冊目まではひとことレビュー的な感じでテンポよく次々と紹介。残り2冊は「深堀り」ということで、内容について詳しく触れ、中江さんの経験や思いも語られていました。
リニューアルで冊数も増え、サクサクとテンポもよく紹介。とても見易かったです。
【過去のブックレビュー】