NHKの「ひるまえほっと」内で、女優・作家である中江有里さんが紹介した本を掲載。番組内で話されていた内容を、ざっくりですが文字に起こし、お伝えします。
番組コーナー紹介文
月に一度のブックレビューです。案内人は女優で作家の中江有里さん。年間300冊の本を読む中江さんが、幅広いジャンルからご紹介。あなたも夢中になれる1冊に出会えますよ!
今回のテーマは、時代です。
虚空へ:谷川俊太郎
中江さん:
谷川さんの最新詩集。4行詩88編。非常に短い詩なので、読む人の解釈や感じ方がそれぞれだと思うんですけど、開いたページの言葉に集中するんですね。そして谷川さんが綴っている「私」という一人称がなんか自分のことのようになっていく。谷川さんの詩であることの認識が薄れていく、自分の言葉のような気がしてくる。
アヤとあや:渡辺優
中江さん:
11歳の少女が主人公で内面の成長を写し出す物語。誰かに「特別」と思われたいという気もちを描く。11歳と言えば、子供でも大人でもない彼女の感性が非常に鋭い刃物のよう、内面を抉っていくなって....描写が素晴らしい。誰かに特別だと思われたい願望は誰もがあると思うんですが、でもそのために無理をする彼女の姿に胸が詰まる思いがしました。
東京の生活史:岸政彦
中江さん:
150人の人に150人の人が聞き取ったリアルな東京。語り手が語ることを聞き手がただ聞いている。話をまとめるようなこともなく、ただ語り手の人生がリアルに伝わってくる。互いの口調とかそのまま収録されていて生々しくて人間臭さみたいなものあり魅力的です。
この本の厚さはすごい!しかも2段組み。1日一人分読んで150日楽しめます。
二十一時の渋谷でキネマトグラフィカ:古内一絵
■内容
平成から令和に移り変わる時代、老舗の映画会社が舞台の物語。さまざまな世代が集まる組織で自分は何がしたいのか?それぞれ思い悩む。
中江さん:
仕事場ってこんなにいろいろな年代の人がいる、わたしは決まった職場はないですけど、それでもやっぱりここに出てくる人「あ、いるなぁ」っていう(笑)
印象的な言葉あっったんです「私のためじゃなくて、自分のために働く」。
生まれた時代とか、働き方とか、社会の中でどうもまれたかで、何のために自分が働いているのか、それぞれ感じ方や考え方がまったく違うわけですね。そういものも含めて私たちは幅の広いところにいるんだなっていうこと感じました。平成から令和の切り替えみたいなものも感じました。
yuri’spoint
星の悠久の時間に比べれば、一瞬に過ぎない束の間の時間を、私たちは共に駆けている。
あんなに あんなに:ヨシタケシンスケ
■内容
人気作家による心温まる絵本。子育ては「あんなに....」の連続。成長する子を思う親の思いが描かれている。
中江さん:
この絵本はむしろ大人が読むのにふさわしい。自分の小さいころを思い出す方もいらっしゃるでしょうし、自分の子や、周りの子、お孫さんとかを思う方もいらっしゃるじゃないかな。
yuri’spoint
言葉のないページに表現された時間の経過
中江さん:
子どものときどきの可愛らしさっていうのがあって、そして大きくなってまた違った可愛さがあって、そういったずーっと愛しい存在なんだなって。自分がどこに重ね合わせられるか、自分はこんな風に愛されてきたんだな、愛してきたな....なんてことも思い返すかもしれません。
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<感想>
本日のブックレビューの最後に中江さんの小説も控えめに紹介されました。2年ぶりの刊行だそうです。
中江さんって本当に多才な方なんですねぇ。歌も演技もそして執筆も!オールマイティーです。この作品の中にはいろんな本が出てくるそうですよ。読書の秋、今日紹介された本と合わせて是非!
【過去のブックレビュー】