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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【ひるまえほっと・中江有里のブックレビュー】他者を知る 2021年9月6日放送分

 

 

NHKの「ひるまえほっと」内で、女優・作家である中江有里さんが紹介した本を掲載。番組内で話されていた内容を、ざっくりですが文字に起こし、お伝えします。

 

番組コーナー紹介文

月に一度のブックレビューです。案内人は女優で作家の中江有里さん。年間300冊の本を読む中江さんが、幅広いジャンルからご紹介。あなたも夢中になれる1冊に出会えますよ!

 

今回のテーマは、です他者を知るです。 

 

 

辛口サイショーの人生案内DX:最相葉月

 

 中江さん:

新聞での人生相案内をまとめた1冊。恋愛、浮気、不倫などの相談から、老いと介護、コロナ禍における相談と、かなり幅広く、普遍的な内容となっています。

 

新聞の相談は文字数が決まっているので、相談する側も、深い悩みを文字数に収めるのに、絶対落とせない言葉を選んでいると思うんですね。サイショーさんは内容から相談者がどんな答えを求めているのか見抜いていく。

 

紙上の人生相談というのは、大勢の方に見守られながら、相談者と回答者が格闘しているようでもあり、真剣勝負は非常に緊張感があって、ある種のユーモア、文学性も感じられて興味深いです。

 

象の皮膚 :佐藤厚志

象の皮膚

 

中江さん:

アトピー性皮膚炎に悩む女性が主人公の小説です。生きづらい日々を、生きる術を、彼女は自分なりに編み出して非常にけなげ。見た目や体質への差別、偏見、非正規雇用と言うね、社会的弱者ともいえる彼女のある種のレジスタンス。抵抗、反抗みたいなものを感じました。

 

 

 

みんな水の中:横道誠

 

 中江さん:

発達障害の大学教授による当事者研究。当事者でなければ分からない感覚には共通項があること、その感覚を理解していくことでコミュニケーションをスムーズに行えるヒントが得られます。

 

例えば村上龍作品における「耳鳴り」の描写、著者は共感している。それを知るとね、これまでと違う読み方もできるんですね。三冊分くらい読んだ感覚がありました。

 

東京のぼる坂くだる坂:ほしおさなえ

 

中江さん:

亡き父の足跡をたどることで主人公は自分を見つめて、なぜ父が出ていったのか、その時母は何を思ったのか、幼い自分はどうしていたのか、坂道をのぼったり下ったりしながら、現在と過去を行き来するような感覚があります。

 

人生と言うのは逆に戻れないんですけど、過去を振り返った時、何か心を癒してくれる瞬間っていうのもありますし、坂道歩きが主人公にとって父を知ると同時に、自分の心の変化みたいなものに気づく、そんなきっかけになっているのかなって感じました。

 

yuri’spoint 

東京の坂で、のぼり坂とくだり坂、どっちが多いか。

 

 

 

ケアとは何かー看護・福祉で大事なこと:村上靖彦

 

中江さん:

医療現場だけでなく日常生活のなかにも、人と人の関係にケアはすごく深く関わってくるんじゃないかと思います。

 

今の時代、他者とのつながり方を模索する時期なのかもしれませんし、そのことを最後に提言してくれている。いつ自分が、そして周りの人が感染するかわからない状況の中で、非常に不安が多い。コロナになったら病気で苦しい、仕事で迷惑をかけるだけでなく、もっと死の間際まで行ってしまった時の、人間同士の関りが絶たれてしまう怖さっていうのをこれを読んで改めて実感した。今できることは予防することしかないんですけど、それをするなかで、ケアのことを深く考たいと思いました。

 

yuri’spoint 

「対面での人との接触」の制限

 

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<感想>

先月8月はブックレビューは、オリンピックや高校野球でお休みだったんですね。久々の中江さんの登場です。本日の本の紹介から、人の悩みの種類って、本当にたくさんあり、その内容も当事者になってみないと解らないものばかりだなぁと。今回のブックレビューは、そんな悩みの範囲の広さや深さを改めて感じさせられました。そしてそれらを知ることの大切さも。

それではまた来月!

 

【過去のブックレビュー】

 

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