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【レビュー】花咲家の人々:村山早紀

 「花咲家の人々」村山早紀著のレビューです。 

花咲家の人々 (徳間文庫)

花咲家の人々 (徳間文庫)

 

 

もし植物と会話が出来たのなら・・・ 

 

舞台は風早という街。
「千草苑」という戦前から続く老舗のお花屋さん一家「花咲家」の物語です。
おじいさん、お父さん、子供3人という構成の家族。

 一見どこにでもいる家族なのですが、花咲家の一族は、植物たちと会話が出来る
魔法のような力を持っているのです。

 

終始ファンタジー系になってしまうのかな?と思ったら、そうでもなく、その魔法というのも「火事場の馬鹿力」的な感じで、いざという時に効力が発揮される類のもの。


話は二人の娘と末の弟の話を中心に各章進んで行きます。
私は末っ子のちょっと気の弱い桂の存在が気になり注目して読んでいたのですが、彼の話が一番心に残っています。

 

この小説の特徴かな?と言えるのは花咲家もそうですが、母親の存在がないこと。
花咲家のお母さんは亡くなっていて、家族の誰もが常に母親を心の中に感じながら生きています。この話に登場する人々も母親の存在が薄い。


そんなちょっと切ない気持ちや痛みをみな持ちながら日々暮らしています。

 

中盤くらいまで、正直ちょっと退屈さを感じていたのですが、植物との関係やこの家族のそれぞれ抱えている悩みが見えてくるあたりから、どんどん話の中に引き込まれて行きました。

 

クリスマスシーズンに話が入った時には、完全にこの家族の歴史の中に自分も入っていた気がします。最後の章「10年めのクリスマスローズ」はなんとなく分かり易い展開なんですけど感動してしまう。

 

家族の歴史を見守る植物たちだからこそ

 

私達の身の回りにいる植物たちは何も語らないけど、家族の歴史をしっかり見守っている存在。なんとなく辛かったり、悲しかったりする時ほど、それらの存在にふと気がつき、癒されたりしませんか?ささやかではあるけど、それは確かに植物たちが声にならない励ましを伝えてきているのかもなぁ…なんて気持ちになりました。

 

「風早の街の物語」のひとつらしいですね。
立て続けに読むほどではないけど、たまに息抜きに読んでみたいシリーズではあると感じました。だって「風早の街」って不思議だけど、住んでいる人々は魅力的だし心がほんわかするんですもの。また訪れてみよう。

 

 

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