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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】少女葬:櫛木 理宇

 

 

 少女葬:櫛木 理宇著のレビューです。

 

本が好き!の献本書評です。

 

◆未成年が何も持たずに家を飛び出した結果・・・あまりにも惨く、切なく、怖しい。

 

うーーしんどい、しんどい。なんだかずーっと胸苦しい内容。でも「いつかは、きっと」って思っていましたが、これがまた最後の最後までキツイのです。



家族の虐待から逃れるために家出した少女。16歳・未成年。仕事はもちろん、住むところすらないという状況下、彼女が辿りついたのはあるシェアハウス。聞こえは良いが、ここはキッチン、バス、トイレ共同、敷金礼金なし、保証人不要、性別および年齢制限もないということから、どんな人々がここに住み、生活しているのかまったくもって嫌な予感しかしない。



少女は同じような境遇でここに住み着いている同じ年の少女と出会い、二人は意気投合して親友となったのだが・・・。

 


この二人はやがて行動を共にすることも少なくなり、それぞれがそれぞれの人間関係を築いていく。同じ底辺からスタートした二人の少女、みるみるうちに全く違う方向へと進みはじめる。転がるように落ちていく者と着実に歩み始める者との明暗がくっきり現れる。

 

 

 


その時に出会った他者によってこんなにも大きく運命が分かれるとは・・・その怖さたるや、読み終わっても身震いがするほどだ。



人生の岐路に立たされた時、正しい道を選べるかどうか。人間関係、出合いによっても明暗が分かれる。その判断をするには、あまりにも少女たちは社会を知らず幼すぎる年齢だ。流れ流されるしかなす術がなかった。



読み終わっても、この分かれ目であった部分を何度も振り返ってしまう。もう取り返せないとこへ来てしまってはいるのだけれども、あまりにも残酷な結末ゆえに、どうすればよかったのだろうと堂々巡りは続く。



不幸な少女の方にどうしても目が行ってしまったが、理解ある大人と恋人に出会ったもう片方の少女が少しずつ掴んでいく確かな愛情、それによって変わっていく姿にも注目したいところ。でも、この対比が、不幸な方の少女をより一層際立たせてしまうものになり、ある意味辛いところでもある。



総じて暗く辛い小説です。特に劣悪なシェアハウスの風景、そこに住む人々の荒んだ様子は、読んでいるだけで病んでしまいそうな雰囲気だ。

 


櫛木理宇さんのホラーは昔読みましたが、こういう精神的に来る怖さも描ける作家なのですね。今後も注目したいと思います。

 

 

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