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うずまきぐ~るぐる 

読書書評ブログへようこそ!読んだ本についてのあれこれを思いのままにぐるぐるかきます。

【レビュー】類: 朝井まかて

 

類: 朝井まかて著の感想です。

類 (集英社文芸単行本)

類 (集英社文芸単行本)

 

 

森家の人々と類の生涯を描く

 

森鴎外の子供といえば、森茉莉がまず思い浮かぶ。次に小堀杏奴。自分の中ではこの二人くらいがぜいぜいで、他に子供がいたかどうかも知らなかったりする。なので、今回タイトルが人名だとは知る由もなく、勝手に森鴎外の話だろうくらいの気持ちで読み始めた。

 

森鴎外についてはあちこちの本からつまみ食いした程度のことしか知らず、作品も「舞姫」と「雁」しか読んでいない。どちらかというと、娘の森茉莉の作品の方が自分には親しみがある。

 

ということで、森家のことを知るのにいい機会だと感じた本書。主人公は鴎外ではなく、息子の「森類」。類を中心に描いた本作、結構なボリュームである。鴎外が生存だった頃、亡くなった後の家族の様子、きょうだいがそれぞれ所帯を持った後の様子など、その時代時代の悲喜こもごもが描かれてゆく。

 

森家の末っ子であった類ときょうだいの関係は、ある時は近く、またある時は遠い存在へと変化する。肉親ゆえ、このあたりの関係性の難しさが窺える。しかし、往々にして森家の人々はどこか浮世離れした雰囲気の人々の集まり。パッパの遺産であくせく働かなくても生活できていたお坊ちゃま、お嬢ちゃんだけに、多少の金欠もさほど切迫感もなく、どこかのんびりした雰囲気は世帯を持っても変わらず。

 

類に関しては絵を描いたり、執筆活動に励んだり、本屋をやったり、自分の気の向くままに色々やってはみるものの、なかなか花開くことがない。常に姉たちと比べては「自分は...」とコンプレックスもいっぱいあった。しかし、往々にして類は色々な人に可愛がられ、やはり恵まれていたのではないかと思う。

 

個人的には留学まで共にした杏奴との関係が、後半こじれてしまったのが残念でならない。

 

 

 

贅沢というのは高価なものを持っていることではなくて、贅沢な精神を持っていることである。

 

森茉莉の言葉。ほんとこの本を読んでいると森茉莉そのものだなぁと感じると同時に、森家の人々にもまたぴったりの言葉であるなぁと思いました。

 

ということで、やぁ~長かった!けど、これだけ読めば森家のぼんやりしていた輪郭を、はっきり見ることが出来ました。あとは、ご本人が書かれた本も一度目を通してみたいな。

 

本作はある意味「森家の入り口」を開けてくれたもののような気がします。森鴎外というより、鴎外の家族のことを知りたい方は、本書からはじめてみるのがいいかもです。