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【感想・あらすじ・レビュー】マリエ:千早茜

 

 

マリエ:千早茜著のレビューです。

☞読書ポイント 

40歳目前での離婚。新たな気持ちでひとりの生活をはじめたまりえ。前向きな気持ちで離婚や次の恋愛に進もうとするも、実際は自分の年齢的なことや周囲の目など、どうしても付き纏ってくる面倒がある。離婚って?結婚って?幸せって?人生の分岐点でじっくり自分と向き合うまりえの日々から見えるものとは。

 

感想・あらすじ 

 

マリエ (文春e-book)

マリエ (文春e-book)

 

神様の暇つぶし」があまりにも良かったので、千早さんの恋愛系の小説はあれ以来読んでいないという変な現象が自分の中で起きていた。あと、「しろがねの葉」なんかも間に入ったからかなぁ。とにもかくにも、久しぶりの恋愛もの。

 

そして恋愛ものと言えば村山由佳さん。村山さんと千早さんはプライベートでもお付き合いがあることで有名ですが、今回おふたりの本を続けて読むという、まさに恋愛系にどっぷり浸かる数日を過ごしました。どちらも大人の恋愛模様。結婚、離婚、不倫等々がこってりと描かれている。

読み比べてみると、やはり村山さんの作品は熟成された感が強くザラザラした感じ。それに対し千早さんのほうは、もう少しフレッシュとでも言おうか、サラッとしていた。なんとなくお二人の歳の差がそのまま小説に表れているなぁと。って、別に比べる気はなかったのですが、こうして同じジャンルを続けて読むことは滅多にないので、思わず比べてしまいました。

 

本作は40歳手前で離婚した「まりえ」の新しい生活を描いたもの。7年の結婚生活も、夫が「恋愛したい」という言葉で崩壊。シングルに戻ったまりえは、この先恋愛をすることにためらいや不安を抱えつつ、一人で過ごす自由な生活を満喫していた。

そんなまりえは7歳年下の由井君と出会い、一緒に過ごすうちに恋に落ちる。この由井君、最初のうちは友達としてなのか、それとも特別な感情があるのかあやふやで、家に遊びに来ても、一緒に食事を作り、お話をして帰っていく、いわば草食男子っぽく、どっち~って感じだけど、やがてお付き合いをすることになる。

 

まりえは当初、興味半分で結婚相談所に登録をしていた。今回この小説で一番面白かったのがこの結婚相談所にまつわる数々の話。これは千早さんが実際取材されて知ったことが含まれていると思うのですが、結婚を前提にってことは、まさにこういうことなのか....と思うような現実がそこにありました。「婚活すげぇーー」って思わず声が漏れる。結婚相談所のアドバイスとか超リアルな世界です。

 

 

 

 

また、離婚についても「なるほどなぁ」って思うシーンがありました。例えば、離婚するとき、相手のご両親にどう報告するか。結婚報告の場面は誰もが想像できるけど、離婚に関しては経験しないと分らない。まりえは手紙を書いていましたが、相手のご両親と良好な関係であった場合、本当、心苦しいですよね。格好いい言葉を言うまりえの年上の友人・マキさんより、むしろ私はまりえの義母の人柄に惹かれるものがありました。

 

ということで、最終的にまりえはどこに焦点を当て、幸せを求めていくか?ってところですが、最後に一波乱はあるものの、落ち着くところに落ち着くといった感じです。

 

最近再婚された千早さん。ご自身の体験が結構入っているってことで、今回は読んでいてまりえを千早さんに置き換えてというか、知らず知らず被せて読んでいたというのはあったなぁ。千早さんの恋人(旦那さん)は年下なのかな~とかね。

 

さて、本書のスピンの色、とても綺麗ですよ。由井君の髪の色かな~なんて思ったり。由井君の髪の話が出てくるたびにチラチラとスピンを見たりしながら楽しみました。

 

久しぶりの千早さんの恋愛小説。すごく読み易かったな。しかし、村山さんと千早さんを続けて読んだので、男女のあれこれについての話は、お腹いっぱい!(笑)

 

王様のブランチで「マリエ」について、千早さんへのインタビュー記事です。興味深い内容ですので是非一読を。

matome.readingkbird.com

 

 

 

千早茜プロフィール

1979年生まれ。2008年『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。同作は2009年に第37回泉鏡花文学賞も受賞した。2013年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞を、2021年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞を、2023年『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞した。他の小説作品に『男ともだち』『西洋菓子店プティ・フール』『クローゼット』『神様の暇つぶし』『さんかく』『ひきなみ』やクリープハイプの尾崎世界観との共著『犬も食わない』等。食にまつわるエッセイも好評で「わるい食べもの」シリーズ、新井見枝香との共著『胃が合うふたり』がある。(新潮社・著者プロフィールより)

 

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