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【感想・あらすじ・レビュー】泥酔文士:西川清史

 

 

泥酔文士:西川清史著のレビューです。

☞読書ポイント 

お酒ってなんだろう?酔っ払いって?酒癖が悪いって?――酒にまつわる文豪たちのエピソードは、それは酷いものばかり。思い切り酒に飲まれてます。現代人はこの人たちよりマナーが良くなったかも?いや、酒呑みの失態は今も昔も変わらないか~など、比較しながら読むと面白い。文豪たちの豪快な飲みっぷりに注目。

 

感想・あらすじ 

 

泥酔文士

泥酔文士

 

なんとなくですが、昔の物書きは酒豪が多そうというイメージがある。先日、ラジオで「昔の文豪たちはそりゃーもう酷かった」ってことで、この本がチラッと紹介された。興味を持ち、早速読むことに♪

 

読み始めて早々、ページの隙間からアルコール臭が漂ってくるの感じがする内容。酔っ払いの醜態がこれでもか.....ってくらい登場する。

 

有名な文士はもちろん、名前はよく見るけどあまり知らない文士まで登場しますが、やはり知っている文士の方が、自分の見て来たその人のギャップが楽しめた。

 

例えば、本書でたびたび登場するのは中原中也氏。彼はお酒を飲むと本当に酷い。冒頭から彼にまつわる酒での失態話が飛び交う。

え?ちょっとー、あの童顔でつぶらな瞳の中原中也が!?繊細そうなのに....と驚きを隠せない。中原中也氏の泥酔情報に関しては、様々な人々からの証言があり、おそらく、相当酷かったのだろうなぁ....ということが窺える。あの太宰も中也に罵詈雑言を浴びせられ、逃げ出したそうだ。

 

同席者たちは、中原氏抜きで他で飲み直そうという話になり、中也はみんなにまかれてしまうわけだが、中也はのけ者にされたことから神経衰弱になったとか。まぁ、自業自得ということだけど、なんとかならなかったのかねぇ。

 

 

 

 

現在でもお酒の失敗はよく聞くけど、昔の人はアルコール摂取量がすごい感じがします。本書に登場する人物は職業柄っていうのもあるけど、徹夜で飲むなんてことは、ごくごく日常的みたいだ。お店の人を叩き起こしてでも飲もうとする者もいて、これでは体を壊すのも時間の問題。結果、お酒で命を落とす者も少なくない。

 

とにかくダントツページを割かれていたのは中原中也氏なわけだが、他にも吉田健一の「噴水ゲロ事件」という強烈な出来事や、泥酔した小林秀雄なんかはプラットフォームから転落し、危うく命を落としそうになったという話も強烈。

 

印象的だったのは、筑摩書房の創業者・古田晁氏の話。酒との関係から、亡くなった時の様子までが書かれているのですが、まさに文学と酒と共に消えてしまった方なのだなぁと。にしても、酔っぱらって神保町から平塚までタクシーで帰宅していたようですが、結構な距離ですよね。長距離というのもあって、タクシー運転者さんの手記まで出てきます。この話は必見です。

 

作品を読んでいるだけでは知ることが出来ない文士たちのエピソードや証言が止めどなく出て来る一冊でした。やはり作品と本人とのギャップがあればあるほど面白いなぁと思いました。逆にあの作家は酒豪だろうと睨んでいた人物がが出てこない。人って分からないものですよね。そして、「酒は飲んでも、飲まれるな。」って言葉が頭に浮かんだところで読了。やーホント、酔っ払いとは、時に陽気で面白く、時にうざったく迷惑なものだ。これだけはいつの時代も変わらない。

 

 

泥酔文士

泥酔文士

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西川清史プロフィール

1952年生まれ。和歌山県出身。上智大学外国語学部フランス語学科卒業後、文藝春秋に入社。雑誌畑を歩み、「CREA」「TITLE」編集長を経て、2018年副社長で退職。現在は瘋癲老人生活を満喫中。著書に『うんちの行方』(新潮新書 神舘和典氏との共著)、『文豪と印影』『世界金玉考』(ともに左右社)、『にゃんこ四字熟語辞典』『にゃんこ四字熟語辞典2』(ともに飛鳥新社)がある。(Amazonより)

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