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【感想・あらすじ・レビュー】挿絵の女 単行本未収録作品集:有吉佐和子

 

 

挿絵の女:有吉佐和子著のレビューです。

☞読書ポイント 

まだまだ知らない有吉佐和子の作品がたくさんあると改めて感じさせられる短編集。そして呉服の話から中国の説話にいたるまで、その題材選びの幅広さは圧巻。本を開くたびに七変化する作品たち。そのたびに新鮮な気持ちになれる楽しい一冊ではあるけど、作風がガラリと変わるので、それなりの集中力がいるかも。

 

感想・あらすじ 

 

没後40年間近の有吉佐和子さん。来年は何か企画があるのかな?なんて期待しちゃうのですが、今年も本作を含め、有吉さんの作品に触れる機会があって本当にうれしい限りです。

 

「単行本未収録作品集」ということで、未読のものばかりというのがこれまた嬉しい。有吉さんは長編をメインに読んできたので、短編って今さながらちょっと新鮮だったりします。さて、どんな感じなのでしょう。

 

 

 

ということで、さっそく答えを出してしまうのですが、収められた6つの短編は、一編一編、どれもガラリと雰囲気が変わるといった印象で、有吉さんの引出しの多さに改めて感心させられる。

 

女性編集者の話。友人の死の真相を探るちょっとした推理小説、財産や相続をめぐる一族の話。中国の怪異説話に収録されている崔敏殻の説話を元にした話。芸者・着物・絵画をからめた話。歌舞伎の話。

 

ご覧の通り本当バラエティーに富んでいる。しかも、ひとつひとつのストーリーも面白いが、着物の話など、かなりの知識と情報がないと描けないと思われる部分も多く、おそらく相当取材をされたのだろうということが窺える。特に呉服関係の話は大変興味深く拝読。呉服屋の心意気を存分に愉しめます。

 

今回、巻末に「解題」というものを岡本和宜氏が書いています。これがまた細かく分析されている。本作のひとつひとつの短編はもちろん、これまでの作品と、今回の作品が、どういう歴史を辿って来たか、などの流れが解説されている。懐かしい作品タイトルと再会!作品を辿る旅って感じがしました。(有吉作品の既読本が多い人は楽しいと思います)

 

ということで、ちょっと早いけど、来年も未読作品をたくさん読みたいなぁ~。今年は何といっても「女二人のニューギニア」が強烈な面白さがあった。また、新たな有吉さんの世界を堪能したいのであります。出版社さんに期待!

 

 

 

 

有吉佐和子プロフィール

(1931-1984)和歌山生れ。東京女子大短大卒。1956(昭和31)年「地唄」が芥川賞候補となり文壇に登場。代表作に、紀州を舞台にした年代記『紀ノ川』『有田川』『日高川』の三部作、一外科医のために献身する嫁姑の葛藤を描く『華岡青洲の妻』(女流文学賞)、老年問題の先鞭をつけた『恍惚の人』、公害問題を取り上げて世評を博した『複合汚染』など。理知的な視点と旺盛な好奇心で多彩な小説世界を開花させた。(新潮社・著者プロフィールより)

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