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うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】閉店時間:有吉佐和子

 

 

閉店時間:有吉佐和子著のレビューです。

 

 

☞読書ポイント 

お仕事小説の先駆けとも言える一冊。昔のデパートの仕事や、職場の人間関係など、現在と比較しながら面白く読める。また、お年頃の女性たちの恋愛事情も。

 

ちょっと前のデパートの裏側。お仕事小説の先駆けです。

 

今もこうして有吉佐和子さんの作品が新刊として私たちの手もとに届くことは嬉しい限り。ちょっとレトロな感じの表紙も雰囲気があって、読む前から気分が上がります。

 

舞台は東京の新宿にある白亜の殿堂・東京デパート。タイトルの「閉店時間」とはこのデパートを意味する。主人公は高校のクラスメート仲良し3人組。彼女たちはこのデパートで、エレベータガール、食品売り場、呉服売り場を担当。それぞれの仕事、人間模様、そして恋愛など、お仕事小説に欠かせない話題がたくさん登場する。

 

 

「お仕事小説」は、昨今では結構メジャーなジャンルとして多くの作家さんたちが書いていますが、その先駆けとも言っていいのではないか思う有吉さんの小説。時代は違えど、かなりリアルに描かれている。たぶん相当取材されたのだろうなぁと感じます。

 

デパートの社員たち同士が使う隠語とか、納入業者とデパート社員との格差、パワハラ、社内恋愛等々、かなり生々しい。特に女性に対する男性の言動や振る舞いは、今ではあり得ない場面が数多く見られ、そのたびにイライラ!ムカつく上司がほんといるんですよね。

 

デパートの華と言われるエレベータガールの舞台裏もなかなか興味深い。そして、本作品は恋愛模様も色々で、3人の女性たちの恋の行方も同時に気になるところ。ここでも誠意のある男性、危なっかしい男性など、それぞれの立場、個性なども存分に表現させながら、最後まで読者を飽きさせない展開になっています。

 

それにしても1970年代に書かれた小説、かれこれ50年前はこんな社会だったのかと。とにかく、仕事も、恋愛も、そしてデパートに来るお客さんも、なんというか熱量がすごい。なんだろうね、この活力の源は。やはり経済が上向きだったからだろうか。

 

しかし、女性たちの悩みそのものは普遍的。好きな人のことで悩んだり、キャリアで悩んだりは、今のわたしたちとなんら変わりがない。今より不便な部分もたくさんあるけれど、願わくば、こんなに勢いがあった元気な時代が、もう一度やって来ないものだろうか...なんてことを思ってしまった。最後に私たちが今でもテレビで見る芸能人も小説に登場。早口のあの方です(笑)

 

【つなぐ本】本は本をつれて来る

*こちらは昭和の新幹線!

昔の新幹線の中での出来事を綴った小説。とにかくドタバタ劇で目が離せません。食堂車があった時代、ウエイトレスやコック、客室サービスをする人々の奮闘ぶり、また、ちょっと困ったお客さん等々の登場でどんどん話が盛り上がります。

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