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うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】博多さっぱそうらん記:三崎亜記

 

 

博多さっぱそうらん記:三崎亜記著のレビューです。

 

☞読書ポイント 

博多と福岡の違い 福岡の歴史 福岡市民の生活 博多弁 同級生との恋愛 因縁対決 ファンタジー 博多への旅行 名物 郷土愛 おばあちゃんっ子

 

 

(本が好きの!の献本書評です)

こちらの本書評はKADOKAWA文庫のWEBマガジン・カドブンの「毎月のべストレビュー」に選ばれました!

 

【感想】知っていますか?福岡と博多の地名について。

 

福岡と博多。この二つの地名はどう違うのか?

「東京のことを江戸って言っているのと同じ感じじゃないのん?」程度にしか考えてなかったから、正直なところ疑問すらなかった。

 

福岡は一度だけ行ったことがある。なのに、なのにである!お恥ずかしいことに、ただひたすら美味しいものを求め歩いていた記憶しかない。そしてさらに恐ろしいことに、今の今までこの本を読むまでずっと「東京のことを江戸って言っているのと同じ感じじゃないのん?」と、のんきに思っていた。

 

そんな私にとって本書は読むべき本であったのだろう。物語の中の人々とファンタジックな世界に入り込み、福岡と博多の関係性を歴史を含め教えてもらったのでした。

 

なんでも福岡と博多には大きな溝があったそうなのだ。昔は那珂川の西側を「福岡」、東側を「博多」と、きっちり二つに分けられていたそうだ。しかしその後、地名をめぐる騒動が起きる。福岡市か博多市か、投票で決めることになり、その結果、「福岡市」に決定。負けた博多に対しては、お情け的に鉄道の駅名を「博多駅」にしたそうだ。

 

という歴史が福岡と博多にはあったんですって。あっさり書きましたが、両者には本当に深い溝があり、そこに著者は注目し、ファンタジーな物語を描いている。ゴタゴタ騒動から130年。またまた騒動が再燃するのだが....。

 

 

 

主人公は生粋の博多っ子かなめと、アンチ博多の博。高校の同級生であったかなめと博は社会人になり再会。当時成就することのなかった恋愛感情を互いに持ちつつ、彼らは「羽片世界」で「カタハネとハン」というライバル対決に巻き込まれてしまう。

 

この対決がとてもファンタジーであり、私にはついて行くのが大変だったけど、合間合間に、福岡の名所や行事、そして市民生活などの興味深い話が出て来るので、ちょっとした観光ガイドを読んでいる気分で楽しめました。

 

例えば、福岡のごみ収集は、カラス対策、朝の渋滞対策を兼ねて深夜に行われているとか、「博多時間」があるとか、「へぇー」的な情報が面白い。また、方言についても語られている。やはり言葉は大事ですね。この物語でも方言が理解できなかったばかりに誤解が生じている。方言の持つ意味、また、世代間でも使う言葉が違ったり、言葉もまたこの物語で大きなポイントとなっている。

 

土地勘がないので、位置関係についてはちょっと苦戦しましたが、福岡に詳しい方が読んだらかなり楽しいのではないかと思う。

 

とにかく後半へ行くほど混沌として行き、まさに「さっぱそうらん」=「大騒動」へと。長いこと続いてきた因縁の対決・福岡VS博多はいかに。そして、かなめと博の関係に進展はあるのか?なかなか終わらぬ戦い。ラストまでさっぱそうらんなドタバタが続きます。

 

読み終わるとやはり、博多駅から名物のお菓子「博多通りもん」を片手に街を眺めてみたくなりますねぇ。この本から知った様々な出来事を思い浮かべながら目の前に広がる景色はきっと、何も知らなかった時の福岡とは全く違ったものに見えるに違いない。

 

【つなぐ本】本は本をつれて来る

*福岡のお菓子屋さんの小説を召し上がれ
福岡つながりの小説をひとつ。福岡の老舗お菓子屋さんのはなし。「シュガーロード」という魅力的な場所も登場する。本当にあるそうなんですよ。甘いもの好きにはたまりません!後味もよろしい一冊です。

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