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【レビュー】夜の放浪記:吉岡逸夫

 夜の放浪記:吉岡逸夫著のレビューです。

夜の放浪記 (私の大学テキスト版)

夜の放浪記 (私の大学テキスト版)

 

 (本が好き!の献本書評です)

 

◆夜は呑み込まれるてしまうほどの

    怖さと楽しさが共存しているものなのかもしれない

 

 

夜遊びが大好きだった。
ドライブに出かけたり、夜中にハーゲンダッツを食べに行ったり、
クラブのはしごなんかもよくした。

我ながら夜へ向けるエネルギーが漲っていたと思う。
キラキラネオンの町並みも、深夜のドンキも無性にワクワクしたものだ。
東京がパワフルで活気があった時代の出来事である。

現在はNHKの「72時間」というドキュメンタリー番組で夜の空気を満喫。
番組はある場所の72時間を追うというもので、特に深夜帯に動いている
人々の様子を見るのが好きだ。

前置きが長くなりましたが、深夜好きなら思わず手にしてしまうだろう
タイトル「深夜放浪記」。本を開いた瞬間からディープな時間がやって来る。
同じ夜空の下、本当にいろんな時間が流れているのだなぁと思うほど
人々が蠢いている。

働いている人はもちろん、歩く人、祈る人、歌う人、踊る人、買い物する人、
ヨガってる人....等々、眠らない都会の風景が次々に浮かび上がって来る。

たくさんの夜の人々の表情は俄然笑顔が多い。
夜のちょっとした高揚感ってあるかもしれない。

昼間だと普通の工場に見えるのに、
深夜の焼き鳥工場の風景は秘密工場的な特別感がある。

みんなが寝ている間に生まれ来る焼き鳥のギラつきが
私には不思議な輝きをもったものに見えた。

著者の吉岡さんは40年ジャーナリストとして活躍された方だ。
戦場、辺境でのタフな仕事をされてきた方だというのに、
本書の仕事は相当きつく、病気になってしまったとのこと。

吉岡さんは残念なことに本書を出版された後、お亡くなりになったそうだ。
おわりに書かれていた「いまだこの仕事を受けたことを後悔している」という

言葉が、今となっては夜の闇の中から発せられた悲痛な叫び声のように

聴こえてしまう。

家にいながらにして夜の深い場所へ・・・
読み終わる頃、どこか遠い場所から帰って来たような感覚が残った。
そうか、わたしは夜の放浪をして来たのか。