いかれころ: 三国美千子著のレビューです。
物語の波に乗り切れないもどかしさが・・・
うーん、何故だか数ページ読んだところで、このまま読み続けるかどうか迷った。どうにもこうにも読みにくいのはなんだろう。文章が特に難しいでもなく、ストーリー展開もゆるやかなのに、どうも物語に集中できないなにかが・・・。最初は方言があるから?なんて思ったけど、そうでもなさそう。やっと調子が出て来たかな~と思うと、たちまち流れが止まる感じがあるものだから集中力が削がれると言うか。
とにかく相性が悪いのか、ストーリー云々ではなく、文章自体に潜むなにかが私にはとても難解な小説だったように思います。
それと、設定がいまいちかな。まだ4歳という幼い子の目を通して綴られる話なのだけれども、こんな小さな子が、ここまで思慮深く大人の世界を理解して見られるか?という違和感。
内容はある村に住む一族の物語。少女の両親、祖父母、叔父や叔母などが登場。見合い話や夫婦の話などを織り交ぜながら、自然が身近にある生活の様子が描かれる。家族の話以外はほとんどなく、それがちょっとした閉塞感とでも言おうか、全体的に空気がよどんでいて明るさはない。また、展開的にも起伏がなく、どこかで大きく流れが変わるかと期待したが、最後まで単調だった印象しかない。
ということで、本と相性が悪かったなぁ。最後まで読み切りましたが、最初に感じた迷いをずっと引きずったままでした。
「いかれころ」とは方言で、踏んだり蹴ったりという意味とのこと。
うむうむ・・・・。
※本書は「新潮新人賞」受賞作だそうです。