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【レビュー】黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人: 森功

 

 

 黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人: 森功著のレビューです。

黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人 (新潮文庫)

黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人 (新潮文庫)

 

 

 

◆主犯の女の強烈な性格に圧倒されます

 

 

福岡県久留米市の看護婦四人組が惹き起こした保険金連続殺人事件の全容を浮び上がらせる緻密な取材。

著者の執念は、一審で死刑を宣告された主犯・吉田純子を中心とする堤美由紀、池上和子(故人)、石井ヒト美たちの、医療知識を駆使した犯行の根幹に迫る。事件の背後に横たわる驚くべき愛憎関係と恐怖を描いて余すところのない本格犯罪ノンフィクション。

 

この事件、ほとんど記憶になかったのですが、女性4人組という、小説のような犯罪を想像し、どんなものかと読んでみることにしました。

 

主犯である吉田純子の異常な性格と行動に最初から最後まで圧倒されっぱなしだったのが正直な感想。

 

殺人事件なので残虐なシーンが…と思ったのですがそこは看護婦たちの犯罪。あくまでも自然死に見せるため、病院から器具や薬を持ち出し医療の知識をもって、ひとつの命をいとも簡単に処理してしまうので、「血」とか「凶器」といった物々しい雰囲気はまるでない。

 

むしろ恐ろしいのは、女王・純子に狙われどんどん純子の言いなりになっていく、この3人の女性たちの姿である。

 

家族を殺し、お金を吸い上げられ、犯罪に次々と手を染めて行く。美由紀にいたっては、純子と一緒に暮らし、その上、性欲のはけ口にされ、嫌々レズビアンという道に連れ込まれる。

 

 

 

「あんたの子どもを妊娠した。珍しい事だが女同士でも子どもが出来る例はあるらしい。」女同士での行為ですよ。この言葉を信じてしまう看護婦って…。

 

なんでこんな虚言に気付かない、なんで逃げない…と何度も思うのであるが、純子に操られた女たちは半信半疑でありつつも健気に従い続けるのである。

 

純子は拘置所内でも配膳係を買収して事件の共犯者に偽証させようと試みるほどの悪人。最後の最後まで一貫して「真っ黒」な人物だったのである。あとがきには「サイコパス」という専門用語を用い純子の異常性を位置づけている。

 

女4人の犯罪というと桐野夏生さんの「OUT」を思い出す方もいるだろう。
私も最初はあの話に似ているかな?と感じたのですが。小説より現実の方がずっと恐ろしくて黒い。

 

そして、本書に出て来る純子が会話で放つ言葉の数々と方言。
聞こえてくるわけないのに、リアルにその声が聞こえて来そうな後味が悪いひと時が私を襲う。

 

人間の判断力がこんなにもあり得ない言葉で崩されていくのか?という疑問ばかりが残る。