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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】ジジイの片づけ:沢野ひとし

 

 

ジジイの片づけ:沢野ひとし著のレビューです。

ジジイの片づけ

ジジイの片づけ

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ジジイの片付けとはどんな感じ?一味違った片付け本!

 

コロナの時代になって、家で過ごすことが多くなった昨今。うちの中の整理ということで、断捨離している方が多いと言う。今年はちょっと落ち着いたけど、いわゆるステイホームが叫ばれていた時期は、いつも以上にゴミが多かった記憶がある。かくいう私も家の中の不用品を整理していた時期で「あぁ、みんなもやってるんだなぁ」と思ったものだ。

 

そういうこともあって「断捨離」に関する本も増えてきているように感じます。このジャンルはあまり読んだことはないけれど、今回はなぜか「ジジイ」に反応してしまったのか、なんてことないタイトルなんだけど思わず読んでしまいました(笑)

 

まずは巻頭に沢野さんのアトリエとかキッチンや洗面所などの写真が掲載されている。これを最初に見たとき、あまり物のなさに、どこかのショールームとか、引っ越し後の部屋の写真かって思ったくらい。こんなに片づけてしまうと生活感がなく、物寂しくないかと思ってしまった。なので本を読む前から、自分の片づけの感じとちょっと合わないかもなぁ~なんて思っていました。

 

しかし写真の様子とは裏腹に、数ページ読んでみるといわゆる「こうしましょう」的なものもなく、あくまでも沢野さんの日常にある「片付け」を綴ったエッセイなんだと。ちょっとしたことなんだけど、やけに心に響いてくるジジイの話にゆるゆると惹きこまれていった。

 

 

 

「朝の10分間片付け」は、自分もすでにやっていて、「そうそう、そうなんだよね」と共感しっぱなし。こうした日々のチマチマとした片づけなら気も楽だし、苦にならない。

 

本書で一番印象深かった話は「死んだあとの片づけ」だ。まもなく家も土地も処分することになった奥様の実家の話。若き日の沢野さんが、奥様のご両親に会いに訪れた話、そして結婚後と、様々なエピソードが小説のように語られている。なんとも哀愁を帯びた話と夕暮れの風景が心に残る。

 

わたしは沢野さんのことを何一つ知らなかったのですが、実は「本の雑誌」でイラストや文章を書いていたそうだ。どうりで嫌みのない文章で読みやすいわけだ。佐野洋子さん、谷川俊太郎さん夫妻や、茨木のり子さんとの交流があったこともあとがきで語られている。

 

ということで、片付けの本を読んだという実感があまりない。ゆるっとした脱力系のイラスト効果か、なんとなく気持ちがふっくらしたまま読了。ガンガン片付けをする方法を知りたい人向きではありません(笑)でも、ちょっとだけ掃除したくなったり、片付けしたくなる気持ちは生まれますよ。わたしは寒くなる前に「窓ふき」をしようかなって♪