うずまきぐ~るぐる 

読書書評ブログへようこそ!読んだ本についてのあれこれを思いのままにぐるぐるかきます。

【レビュー】私のことならほっといて:田中兆子

 

私のことならほっといて:田中兆子著のレビューです。

 

何かが狂っていく感じの面白さと不気味さが相まって・・・

 

いやぁーなんだろう、このザラザラした読後感は。でも、なんだかやめられない面白さがあったなぁと。気分が悪いんだか良いんだか判らない漠然としたものが残る夢を見た後のような余韻とでも言いましょうか。

 

「夢で良かったわ」と思うのと同じように、これも「小説で良かったわ」と、もし抜け出せなかったら怖かっただろうなーと思わされるものばかりが詰まった一冊でした。

 

のっけから度肝を抜かれる「片脚」

 

家に帰ると、ベッドの上に夫の片脚があった。

 

 って・・・・!

殺人現場とか思うじゃないですか。でも、その脚は普通に亡くなった夫のもので、話自体に事件性はなく淡々と進む。でも、その脚、腐ったりもせず、それだけまるで生きているかのように横たわっているんです。その不気味さったらない。

果たしてこの片脚のは行方は・・・どこへ向かうのか困惑しながら読みました。

 

 

「匂盗人」も妙な話だったな~。

内容はタイトルまんま、自分の匂いを友人に盗まれる話なのだ。匂いを異常に気にするあまりに幻想とでも言おうか。強迫症が重症化しちゃったような話ではあるけれど、リアルにちょっと起こりそうな気もしないでもないところが不気味です。

 

「私のことならほっておいて」は、

なんとなくうまくいっていない夫婦の妻が、まるで現実逃避をするかのように夢のなかに出てくる男性と官能の世界を味わい尽くす。眠り続ける妻が現実を捨ててでも会いに行く夢のなかの男との世界。

 

「私のことならほっておいて」が著者の本領発揮というか、おそらく得意とする分野なのかなーと感じました。

 

その他、6本指に魅了された少女の話や、異星人に拉致され、動物園のようなところで監視されながら生きている女性の話など、7つの短編はどれも独特な雰囲気に包まれている。

 

一度読み始めると止められない面白さがありました。以前読んだ「甘いお菓子は食べません」より、俄然、こちらの方が面白かったです。短編の完成度が高い!

 

姉妹サイト

select.readingkbird.com