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【感想・あらすじ・書評】とんこつQ&A:今村夏子

 

 

とんこつQ&A:今村夏子著のレビューです。

 

☞読書ポイント 

ほのぼの気分で読んでいられるのも最初だけ。途中からの違和感が、あっという間に狂気じみた話になっていき、手が付けられなくなるような展開。今村作品は一度読むと次がすぐ読みたくなる。中毒性があるのでご注意を!

 

感想・あらすじ 「過ぎたるは及ばざるがごとし」そんなテロップが頭の中で流れ出す

 

やはや今村さんの小説には本当に毎度、毎度、毎度、うわーーとさせられる。何というか、最初は通常モードで読んでいるのに、いつの間にか「あれ?あれれ??なにこれ」となり、気が付けば手がつけられない度を超した状態になっている。読みながら「過ぎたるは及ばざるがごとし」ってテロップがずっと頭の中に流れていた。

 

「とんこつQ&A」というタイトルからしてすでに謎めいている。言っておきますが、「とんこつ」はあのラーメンの「豚骨」ではない。もうそこからして戸惑うが、わかるとちょっとニヤける。今村さんは、些細なことでも読者の「ええーー」と言う声を聞きながらすました顔でこういうことをする。

 

 

 

さて、舞台は大将とぼっちゃんが切り盛りする中華料理店。奥さんは亡くなってしまったため、親子で営むお店。そこに「わたし」がアルバイトとして働き始めたのだが....。「いらっしゃい」も言えないわたし。でも紙に言うことを書いて、それを読めば言えるということに気づく。最初は「不慣れだから仕方ないよなぁ~」なんて読んでいたら、なにもかもをメモ作りはじめる「わたし」。

 

大将もぼっちゃんもそんな「わたし」を叱らず、辞めさせることもせず見守ってくれる。やがてお店は繁盛し、もう一人のアルバイトを雇うことに。やって来た女性もまた....。

 

この女性の登場により、話はさらに複雑化していくというか、狂気な雰囲気が充満。なんなんだ、この人たちは!この妙な世界をずっと見ていたいような、はやく抜け出したいような....。やがて、大将の亡くなった奥さんも含め、人間関係もちょっと妙な感じになっていく。

 

最初から最後までとにかく釘付けでした。不気味、でも面白い、いや、それ、おかしいでしょ!と。徐々に不自然さが加速していく展開に目が離せなくなる....という読書時間でした。

 

 

 

 

ほかに「嘘の道」「良夫婦」等、4編の短編集は、どれも妙な話ではあるけれど、もしかしたら本当にあるかも?ってにわかに思わされる怖ろしい作品ばかり。なかでも「とんこつQ&A」は強烈で、今村作品らしさが際立っていたが、「冷たい大根の煮物」のように、人をどこまで信じられるか、わたしたちをも試されるような作品もあった。

 

とにかく上手いなぁ~~って思う。起きているのに「うなされる」感じ。うーーうーーってなる(笑)。でもこれぞ期待していた展開。思い切りその世界に連れて行ってくれる作品、大歓迎である。これはもう中毒みたいなものである。

 

 

本作はアメトーーク!読書芸人でも紹介されました。

番組で紹介された本はまとめてありますので、ぜひ~♪

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