花ならば赤く:有吉佐和子著のレビューです。
口紅会社に勤める新卒の小悪魔
やっぱり面白いです、有吉さんの小説!
本書は有吉さんが30歳の時に描いた作品で、主人公の女性とも年齢が近いということもあって、全体的にとても瑞々しい雰囲気がどのページからも伝わって来ます。
短大を卒業した晴子は友人に紹介された口紅の会社に就職。
働くことも、大人の男性たちも、連れて行ってもらうお店も、全て初めてづくしの晴子。
雑務に追われながらも充実した日々を過ごす。
そんな中、大人の男性に見えた専務の山野や、社内の男性たちと恋愛のような戯れを通し、色々な経験を重ねてゆくのだが・・・。
主人公晴子の若さゆえの大胆さには終始ハラハラさせられっぱなし。
小さい会社内でよくぞあっちもこっちもといった感じではあるのだけど、この主人公のカラッとした様子に、周りの男性たちだけでなく読者もちょこっと翻弄されちゃうような、晴子って小悪魔なんだなぁ。最終的に晴子が選んだ相手というのも、これまた「へー」なのである。
いろんな社会勉強を積み、着地点はお見事ね!
お姉さんも見習わなくては・・・って気持ちにさせられました。
小さい口紅の製造販売会社の行方や人間模様も有吉さんならではの細かい設定を重ねながら面白みを加えてゆきます。
50年前の作品ということで、
「御家族券お持ちの方、御新婚のお方さまは、お先にご搭乗下さい。」
・・・などの、空港の搭乗案内のアナウンス。
「御家族券」ってのがあったのか!?
「新婚さん」はちょっとしたVIP対応なのか?!
要所要所、時代を感じさせられる言葉が出てきてなんとも新鮮。小説を通して当時の生活様式が見えてくるのがこれまた楽しい。
さて、もうひとつ読み応えがあったのが、娘の玉青さんの解説。
お母様に対するたくさんの想いがこめられている。
ラストの1行は玉青さんの強い決意が感じられ胸が熱くなる。
写真も掲載され、色々な意味で、長い年月を超えて私たちのもとへやって来た作品なのだと感じずにはいられない1冊でした。
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