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【感想・あらすじ・レビュー】成瀬は天下を取りにいく:宮島未奈

 

 

成瀬は天下を取りにいく:宮島未奈著のレビューです。

☞読書ポイント 

2021年「ありがとう西武大津店」で第20 回「女による女のためのR-18 文学賞」大賞、読者賞、友近賞をトリプル受賞。同作を含む『成瀬は天下を取りにいく』がデビュー作。....という、すっごい作品がやって来た!とにかくまずは読んでみよう。主人公・成瀬に釘付け&滋賀県を存分に楽しんで!

           装丁画は、ざしきわらしさん。

感想・あらすじ (ネタバレなし)

 

とにかく「面白かった」「読んだら成瀬のことが必ず好きなる」なんていう言葉が耳に入って来た一冊。そう、成瀬のことは噂で十分すぎるほど情報があったので、成瀬の数々の変な行動に関しては驚かなかった。本音を言えば、何も知らずに読んだ方が、成瀬のことにもっと興味を持てたのではないか?と思ったりもしています。

 

でも、評判通りとても楽しい読書になりました。何というか、文章を読んでいるのだけど、漫画を読んでいるような感じがずっとしていました。表紙のイラストも手伝って、文字を読みながらしっかりとその場面が映像化されていた。舞台は滋賀県、土地勘も全くないのに....です。

 

 

 

 

ということで、成瀬についてです。物語は彼女が中学2年生から始まります。ちょうどそのころ、西武百貨店の大津店が閉店するという地元民にとって大きな別れがあるのですが、そんな西武百貨店を前に、成瀬はある行動に出るのです。キマシタ、キマシタ、しょっぱなから成瀬の行動に釘付けに。

 

これをきっかけに各章、いろんな成瀬に会うことになるのですが、成瀬の行動、発言が気になって気になって。そうか、この人を惹きつけるチカラこそが成瀬の魅力ともいえるのですな。今回は敢えてその部分のことは書きませんが、ぜひ、本書で確認してみてください。成瀬が口を開くと、思わず「おっ!」となる場面、結構あります。

 

とかく本書は主人公の成瀬に注目されがちですが、私はむしろ脇役であった人々の話に心が動いた感じがします。閉店前の西武で再会した同級生たちの話はちょっといい話だったなぁと。過去に置き忘れ、ずっと気になっていたことが修復される、そんな感じの同級生話と、成瀬の存在とが徐々に合わさっていくのも、地元設定ならではの面白さなんですよねぇ。

 

さて、成瀬が読者にこれほどまでにウケているのはどこなのか?成瀬の破天荒っぷりはついて行くのが大変そうだけど、それでもちょっと巻き込まれてみるのもいいかも?と思えるから不思議。成瀬のイメージは武士みたいな感じで、口調も女子感なし。年齢も性別も超えちゃった存在感!もし、青春時代に成瀬に出会っていたら、いろんな意味で刺激的だっただろうなぁと思うのです。

 

とにかく気になる方は、ぜひ成瀬に会ってみて!できれば、読む前にいろいろ内容に関するものを目にしないことをおすすめします。(ここまで読んでいただいてなんですが...)その方が成瀬の行動や発言がより面白く夢中になれると思います。

 

あと、滋賀県民のかたは必読の書なのではないかと。膳所高校、西武大津店、琵琶湖等々、筆者の「滋賀県愛」がたっぷり感じられる小説でもあると思います。

 

 

 

 

続編は?宮島さんへのインタビュー

気になるのは続編よね。この先はあるかないか?王様のブランチの作家インタビューで著者の宮島さんが続編について語っています。インタビューの内容はこちら↓

matome.readingkbird.com

 

 

宮島未奈プロフィール

1983年静岡県富士市生まれ。滋賀県大津市在住。京都大学文学部卒。2018年「二位の君」で第196回コバルト短編小説新人賞を受賞(宮島ムー名義)。2021年「ありがとう西武大津店」で第20 回「女による女のためのR-18 文学賞」大賞、読者賞、友近賞をトリプル受賞。同作を含む『成瀬は天下を取りにいく』がデビュー作。(新潮社・著者プロフィールより)

このまま成瀬ファンが増え続けたらきっと、映画化とかドラマ化も夢じゃないないわね。可能性をたくさん秘めた作品ね☆

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