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【レビュー・感想・あらすじ】真珠とダイヤモンド 下:桐野夏生

 

 

真珠とダイヤモンド下:桐野夏生著のレビューです。

☞読書ポイント 

上下巻で読むのが大変かと思いきや、上下ともに面白くあっという間に読める一気読み系小説です。バブルの恩恵を受け、札束が飛ぶような派手な生活から、バブル崩壊後の転落の様子は恐怖そのもの。バブル世代も、知らない世代も必読の一冊。 上巻はどんな話だったか➡(上巻レビュー

 

感想(ネタバレなし)

真珠とダイヤモンド 下

真珠とダイヤモンド 下

 

 

どういう展開になるのか、まだまだ掴めなかった上巻。証券会社に勤める男女3人の行方はどうなるのか。上巻はバブル景気に沸き立つ日本でした。後半もまだまだバブル期ではありますが、そろそろ終盤。

 

 

 

 

 

 

短大卒の窓口販売員・佳那と大卒の営業マン・望月は、結婚し、望月は本社に栄転で東京に出てきている。佳那は望月を支えるため、仕事を辞め専業主婦へ。一方、高卒の事務員・水矢子は、夢であった東京の大学に進学。しかし、希望する大学には入れず、思い描いた学生生活とは程遠い。バイト生活からどんどん雲行きが怪しい生活へと。

 

望月の仕事は順調ではあったけど、顧客であったヤクザとの付き合いが彼と妻の人生を狂わす。東京に出て来たばかりの時は、どこもキラキラした世界だった。

(本文より)

 

望月はヤクザに損をさせてはならぬと、夜な夜な様々業界の人と知り合い、飲み歩く。佳那もヤクザの愛人と親しくなり、彼女の派手な生活を習い、そしてホストクラブにハマり....。となれば、バブル崩壊をすでに知っている読者にとっては、彼らの生活が崩壊へ向かっているということは容易に想像がつく。それゆえに、読んでいて怖い。本当に怖い。下手なホラーよりも怖い。

 

 

 

そして、もうひとつ心配なのは水矢子のその後だ。なにせ上巻でホームレス状態の彼女の姿を読者は知っている。一体、東京に出てきて彼女の生活に何が起きたのか。

 

彼女の人生が狂い出したのは、占い師の家で住み込みの生活を始めたことによる....と思いきや、後半、さらに彼女の身に災難が降りかかる。このあたりの展開、桐野さんったら本当に容赦がない。堅実に暮らしていても、こんな落とし穴があるのかと気持ちがさらに暗くなる。

 

まったくもって救いのなかった展開。でも、株や不動産の動きが尋常ではなかったバブル期には、こんなことも実際起きていたのではないだろうか。あの興奮状態であった時期は一体なんだったんだろうって改めて思う。

 

しかしまぁ、桐野さん、毎度のことですがラストが壮絶。ハッピーエンドの作品って最近あったかな?面白いのだけど、暗澹たる結末に戸惑うばかりです。

 

桐野夏生プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨 』で江戸川乱歩賞を受賞。1997年に発表した『OUT(アウト)』は社会現象を巻き起こし、日本推理作家協会賞を受賞。1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞を受賞。以後、柴田錬三郎賞、婦人公論文芸賞、谷崎潤一郎賞、紫式部文学賞、島清恋愛文学賞、読売文学賞を受賞と、主要文学賞を総なめにする。現・日本ペンクラブ会長。(新潮社・著者プロフィールより)

真珠とダイヤモンド(上)レビュー

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