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【感想・あらすじ・レビュー】め生える:高瀬隼子

 

 

め生える:高瀬隼子著のレビューです。

☞読書ポイント 

人間から髪の毛がなくなったらどんな世界が待っているのだろう。意外に楽かもしれないと思う反面、そんな中で自分だけ髪が生えていたらどうなるか?禿げ問題は奥深い。読書中はずーっと髪髪髪な作品。

 

め生える

め生える

感想・あらすじ 

高瀬さんの作品はデビュー作から全て読んでいるけど、不気味さや訳の分からなさにどんどん拍車がかかってくる気がしてならない。まぁ、今に始まったわけでもなく、読む前にそれなりの心構えは出来ているつもりなんだけど、読み始めて数分後には「おいおいおいおい!」っとなる(笑)今回もだ。

 

 

 

 

とにかく寝ても覚めても本作は「髪・禿げ」一色と言っても過言ではないほど、どのページを見ても「禿げ、髪、禿げ、髪」なのである。なにせ、髪が抜けてしまうという謎の感染症により、中高生以下の人を除く、全ての人が髪が抜ける....という世界が待っていた。

 

この設定、結構衝撃的ではないですか。なんとなくコロナを彷彿させられる病気。禿げた人々はウィッグを付ける者、付けないでそのままでいる者など、個人の選択で生活をしている。銭湯が登場するのですが、みんながみんな頭までツルツルという状況など、なんだかコミカルであり、シュールでもあるのですが、淡々と書き綴る高瀬さん、相変わらず静かにぶっ飛んでます。

 

 

一旦抜けてしまっても、また髪が生えてくるというパターンの人もいる。これがちょっと居心地が悪くなるようで、生えたことをひた隠しにして、あえてウィッグを付けたりするなどして他者と歩調を合わせる。世の中が180度変わるとはこういうことなのだと、禿げ問題は意外に奥が深い。結局は多数派に同調するのが生き易さに繋がるということなのだろうか。などなど、本を開いている時間はただひたすら「髪問題」と向き合った気がする。

 

しかしなぁ、もし、髪の毛がなければ、結構いいかもって思ったりも。禿げも白髪も癖毛も傷んだ髪も関係ない。将来禿げるかも?の悩みもなくなるし、シャンプーや整髪関係も不要、美容院代も浮くという経済面でのメリットも大きい。ウイッグは帽子感覚でその辺に売っていて、ファッションとして楽しむ....みたいな世界。気楽でいいですよね。ただし、輪郭や頭の形が露わになるから、整形とか化粧が今より過剰になるか~等々、妄想は広がる。

 

 

 

 

ということで、掴みどころがなくバカみたいな話って言っちゃえばそれまでなんだけど、コロナ禍で起きたことと重なる部分も多く、読者が手放しに笑える内容かと言ったら決してそうではない。くだらないな~って言えない怖さが潜んでいる。

 

ところで本作の出版はU-NEXT。映像作品だけかと思ったら、書籍も結構たくさん出していて、近年話題になっている本もたくさんあるようです。「め生える」は、文庫本よりちょっと大きめで、新書のようなサイズ感。表紙に文字もなく、一見、手帳のようなおしゃれなデザインです。なんとなく、手に取りやすい雰囲気で良いですよ!

 

面白そうな小説がたくさんあるよ!

U-NEXTオリジナル書籍 - U-NEXT Publishing 公式サイト

 

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