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【感想・あらすじ・レビュー】だいたい本当の奇妙な話:嶺里俊介

 

 

だいたい本当の奇妙な話:嶺里俊介著のレビューです。

☞読書ポイント 

説明のつかない不思議な出来事は私たちの身の回りでは日々起きている。「異色ホラー小説」は、実話と作り話との曖昧な世界を漂う。この話はどっち?と必ず考え込んでしまう一冊。

 

感想・あらすじ 

ホラーや怪談など、作られた怖さみたいな本はたくさん読んできたけど、私的に怖いなぁって感じるのは、「どっちなの?」的なものだと思っている。「どっちなの?」とは、本当のことなの?これって怪奇現象なの?と、真実がわからないまま消えていくような話。

 

こういうのって、自分が遭遇する確率は全くのゼロではないわけで、だからこそ想像すると怖い。もちろん「信じるも信じないもあなた次第」ってことで、バカらしいって思う人には、なんも響かない話なんですけどね。

 

 

 

 

本書は強烈に怖いわけではないけど、たぶんそうなのだろうって思わせる短編が綴られる。一応、小説という形を取っているが、恐らく主人公は著者で、ご本人が体験した話だろう。その証拠になるとも言える写真が掲載されていたりする。写真は話の最後に登場するものだから、「ひぃ!」っと思わず声が出る。この手法?確か工藤美代子さんの本もそうだったけど、本当にゾクゾクするんですよ。パターンが分かると、話の最後あたりはどんな写真がでてくるのか...と落ち着かない。

 

今回一番印象的だったのは、「ざしきわらしの足音」話かな。座敷わらしが出るという東北の宿が舞台ですが、もう語り尽くされている感はあるなぁーと。しかし、これは座敷わらしそのものより、その後に起きた出来ごとの方がすごかった。もちろん、この宿で、作者は座敷わらしらしきものに会えたからなのでしょう。

初めて知りましたが、座敷わらしも場所(二戸と遠野)によっては、いいことばかりを運んできてくれるわけではなさそうです。作者は良いことが起きたわけですが、そのあたりは知ってないと怖いですねぇ。

 

もう一つ印象的だったのは「経る時」という話。こちらは急速に老化が進んでいく難病「ウエルナ―症候群」に罹った友人の話なのですが、とにかく切なかった。最後の写真は、彼が書き残した「言葉」が掲載されている。社名の入った紙にしっかりした字で書かれた文字が目に焼き付く。これは多分、作者の実話だと、嶺里さんのプロフィールを見て確信。

 

 

 

 

余談ですが「経る時」は「ふるとき」と読むのですが、これは松任谷由実の歌のタイトルでもあります。この歌詞の景色と本書の話を重ね合わせると全く違和感がなく....。きっと作者さん、この歌をご存じだったのだろうなぁと感じました。

 

「異色ホラー小説」ということらしいのですが、私的には小説を読んでいる感じではなく、やはり体験談のように感じた。タイトルの「だいたい本当の」っていうのは、かなりそうなんだと思う。多少盛ったりしながら綴ったのだろう。正直な作者のお人柄をちょっと感じました(笑)

 

 

 

嶺里俊介プロフィール

1964年、東京都生まれ。学習院大学法学部法学科卒業。NTT(現NTT東日本)入社。退社後、執筆活動に入る。2015年、『星宿る虫』で第19回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、翌16年にデビュー。その他の著書に『走馬灯症候群』『地棲魚』『地霊都市 東京第24特別区』『霊能者たち』などがある。(Amazonより)

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随分前に読んだ本ですが、いまだ人気がありますね。工藤さん初読みだったので、かなり怖い思いをしました!

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