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【感想・あらすじ・レビュー】お墓、どうしてます?キミコの巣ごもりぐるぐる日記:北大路公子

 

 

お墓、どうしてます?キミコの巣ごもりぐるぐる日記:北大路公子著のレビューです。

☞読書ポイント 

お墓購入のノウハウ本ではなく、お墓購入をどうするか?という問題に、家族がどう動いていくかやその時その時の心理を描く。この問題に立ち向かう時にちょうどコロナも始まる。ということで、日常とお墓日記みたいなものに仕上がっている。最終的には意外な教訓がこのエッセイから見えて来る。

 

感想・あらすじ 

北大路さんのお墓購入体験記かと思いきや日常エッセイでした。最初は「ええーータイトルに騙されたわ~」って思ったのですが、最終的には意外にも教訓めいたものを感じ、やはり読書は自分の感じることがどこに辿り着くか、最後まで読まないと分からないものだと思いました。

 

最初はお墓ネタだったのでふむふむと読んでいた。が、連載後まもなく、コロナがやって来てしまうのである。そこで北大路さんの「お墓購入計画」も動くに動けない状態へ突入してしまうのです。

 

そもそもの話は、お父様が亡くなった。お父様はお墓もご自身の事務所のことも、なにひとつ生前に決めていなかったため、その処理に奔走する北大路さん。「お父さん、どうして何もしないで、死んでしまったの?」と愚痴るもご本人には到底届かぬ声に。

 

仕方なしにまずはお墓を....と思うのだが、なにかピンと来ないというか、動きがすこぶる悪い。お母様もあまり乗り気ではない。そんな状態でとりあえず市営霊園を申し込んだら、なんと当選!さぁ、墓石を買って.....となるところだが、コロナがはじまり、お父様の事務所の整理などで途方に暮れる。

 

エッセイのはじまりは2020年2月。エピローグが2022年8月。墓地は用意できたけど墓石の購入はどうなるか?と言ったところに焦点が当たるのだが、いかに....。

 

 

 

 

本書を読みながらコロナ禍がどんなものだったか、しみじみと振り返ってしまった。また、北海道在住の北大路さんの生活は、東京暮らしの自分とは違った生活サイクルであることも窺えた。雪国の生活は中高年には結構過酷なものなのだなぁと。でも、蟹とかよく食べているみたいだし、そのあたりは羨ましい(笑)

 

北大路ファミリーはみんなおっとり系なのか、焦る様子もあるようでない。その証拠に、忙しいわりに新たに猫をお迎えしたりしてる。お母様と北大路さんに最高の癒しを運んできた猫ちゃんにも注目です。

 

そして、まだお墓に入れずにいるお父様の気配が、これまたちょっとびっくり怖い(笑)そんなこんなでなかなか具体的な話にはならず、最終回で若干の動きはあるものの、お墓購入記的なものとは程遠い。

 

 

 

(ここからちょっとネタバレです)

 

驚いたことに最終回で北大路さんご自身が病気になった。手術と薬物療法をされたとのことなので、かなり辛い病気だっただったことは想像に難くない。本当に人生はわからないものである。先延ばしにしていたことが、あっという間に現実味を帯びて来る時期があるということをひしひしと感じさせられた。

 

市営霊園はお墓建立のリミットがあって、北大路さんのところは、リミットまであと1年あるようだ。ネタバレになってしまうが、本書で北大路家のお墓はまだ登場しない。けれども、一歩一歩進んでいるのも事実。

 

最初は「なーんだ、コロナ禍のよくある日記じゃん」って思っていたけれども、最終的には、「まだまだ先のこと」って思っていることって、案外あっという間に訪れるものなのだということを、リアルに本書は教えてくれました。

 

北大路公子プロフィール

札幌市生れ。関西の大学を卒業後、各紙誌でエッセイ・書評を執筆。近年は、小説も手がけている。著書に『枕もとに靴 ああ無情の泥酔日記』『最後のおでん ああ無情の泥酔日記』『生きていてもいいかしら日記』『頭の中身が漏れ出る日々』『ぐうたら旅日記 恐山・知床をゆく』『苦手図鑑』がある。(新潮社・著者プロフィールより)

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タイトルと同様、夫と一緒のお墓に入りたくない人は増えているらしいですよね。本書では「姻族関係終了届」についても書かれていますよ。

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