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うずまきぐ~るぐる 

読書書評ブログへようこそ!読んだ本についてのあれこれを思いのままにぐるぐるかきます。

【レビュー】古都旅情:瀬戸内晴美

 

古都旅情:瀬戸内晴美著のレビューです。

☞読書ポイント 

寂聴さんが訪れた場所やお寺、行事など多岐に渡る話に耳を傾けながら歩く古都・京都。若き日の寂聴さんが何を見て、何を思いながらこの地で過ごしていたのか。修業時代の話も含め、興味深い話がたくさん登場します。京都へ行くときは持っていきたい一冊。

 

 

寂聴さんとの本の旅はまだまだ続く

 

寂聴さんが亡くなってからはじめて読む一冊。何を読もうか迷ったけど、小説ではないものを....と手に取った。

 

「寂聴さんが亡くなったなんていまだ信じられない。実感がわかない。」と誰もが言う。わたしもそんな風に感じている一人。寂聴さんはどこか長い旅へ出かけているんだ、明日にでもひょっこり帰って来るかもしれない。....という気持ちがどこかにある。今回たくさんの作品の中から「古都旅情」を選んだのも、そんな想いとともに、旅先から送られてくる寂聴さんからの手紙を読むような感覚で読み進めていた気がします。

 

たくさんの作品を残してくれた寂聴さん。とりわけ私は「瀬戸内晴美」時代に書かれた作品に惹かれ、少しずつ読んでいる途中ではあるのだけれど、とにかく毎度本を開くたびにその文章の美しさ、語彙力、そして寂聴さんの知識の広さ、尽きない話題の多さに圧倒される。最初の数ページはいつも文章に酔う。圧倒的な語彙力に酔いが止まらないと言っても過言ではない。みっちり文字が詰まったページから、まさに書くことの迫力を見せつけられるのである。「古都旅情」も例外なくおしよせて来る文章にあっという間に惹き込まれる。

 

本書は嵯峨野に庵を結ぶ寂聴さんが京都や滋賀を訪ね歩く。歴史の跡を辿りながら、その地にゆかりのある人々を語る。美しい風景描写から、私の「目」が、まるで寂聴さんの「目」になったかのように古都を見ている感覚がずっとあった。そのくらい臨場感がある。色も音も匂いも湿度も、時代を超えて纏わりついてくる。

 

修業時代の話や、京都の行事、祇園のお茶屋さんの話まで、当時彼女が何を見て、何を感じていたのか、遠い昔を寂聴さんの「目」になって旅して来た気持ちになりました。それはちょっと不思議な感覚です。

 

 

 

さて、今回この本と同時に読んでいた小説があります。窪美澄さんの「朱より赤く:高岡智照尼の生涯」というもの。京都の祇王寺にいた高岡智照尼をモデルにした作品で、この尼については、寂聴さんも「女徳」という作品を残している。

 

「古都旅情」を読み終えようとしていたまさにその時、太田治子氏の解説にあった「祇王寺の智照尼」と言う文字に目が留まる。なんでも太田氏が初めて京都でお正月を過ごそうということで寂聴さんのお宅にお邪魔したそう。そこに智照尼もいらしたというじゃありませんか。

 

智照尼のことはこれまで自分の人生で聞くことすらなかった人物だったというのに、同時に読んでいた2冊の本に続けて登場するなんて!偶然って言えば偶然なんだけど、なんだかお茶目な寂聴さんがいたずらを仕掛けたんじゃないかという気がしてならない(笑)それはそうと、やはり智照尼と寂聴さんと交流があったのですね。納得すると同時になんだかいろんな繋がりに「縁(えにし)」を感じます。

 

読者としての供養とでも言おうか、この一冊を「今」選んでよかったと心から思う。たくさん残してくださった瀬戸内作品を、この先わたしはどこまで追えるのだろうか?亡くなってもそんな風に思わせてくれるほどたくさんの作品を残してくれたこと、本当にありがたく思う。そして、今後も残された作品を読める時間を大切にしたいと思う。寂聴さんとの本の旅はまだまだ続く。

 

【つなぐ本】本は本をつれて来る

*京都大好き!

京都にこんな町の名前があるんだ!ってまず驚いた。歴史を辿る観光旅行も良いけど、地元密着の旅も面白そう。骨董市や和菓子屋さんなど、読んでいるとすぐにでも京都へ出かけたくなる。わくわくが止まらなくなる一冊です。


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