天使突抜一丁目:通崎睦美著のレビューです。
今日も着物で自転車に乗って~♪
京都の女性と言えばこんな人という漠然としたイメージ像がある。いや、もしこんな風にして京都で暮らせたら楽しそうといったものかな。その妄想とえらく重なったのが本書の著者、通崎さん。
マリンバ奏者である通崎さんは大正生まれの伯母さんの形見の着物との劇的な出合いを経て、着物の世界にハマったということで、実生活でも気軽に着物を着こなしている。
着物に帽子、京都の町を自転車で駆け抜ける様子は、見ているだけで本当に楽しい。
着物メインの話ではあるのですが、骨董市の話や、古着屋さん、和菓子屋さん、京都のお祭りからご近所のおばあさんの話まで地域に密着した話がこれまた大変面白いのです。
観光地ということもあり、とかく京都の情報は目にすることが多いわけですが、自分的には地味な豆知識的な情報が好きだったりする。
例えば、京都の和菓子屋さん事情。東京で和菓子屋さんは和菓子屋とか店名で呼ぶことくらいしかバリエーションはないけれど、京都はちょっと複雑な区分けがあるようです。
「おもちやさん」━お餅、赤飯をメインとしてお饅頭も売る
「おまんやさん」━多種類の饅頭や餅菓子を並べる
「菓子司」━お茶席での上菓子を扱う。
普段は「お菓子やさん」と呼ばれている。
古い店になればなるほど、三者の個性がはっきりしているという。ちょっとしたニュアンスの差であるらしいが、千軒も越える数の和菓子屋があるこの町では区別が必要なのかも知れませんね~。
といった地元民ならではの話に耳を傾けつつ、鮮やかでキュートな着物と京都の風景に目を奪われる。
こんなにも自由に着こなしてしまう通崎さん。心から着物を愉しんでいる様子が何よりも印象的であった。
本書はどこをとっても、まさに温故知新。古いものと新しいものが融合され、魅力的なものが生まれている。
最後に弘法さんで買った100円のポップな布。表具師さんにお願いし掛け軸にしてもらったというものがとっても素敵だったのですが、一体ご予算どのくらいだったのかな?
・・・と、気になって、気になって(笑)
※「天使突抜一丁目」は実際にある住所だそうです。魅惑的な地名ですな!