NHKの「ひるまえほっと」内で、女優・作家である中江有里さんが紹介した本を掲載いたします。
番組コーナー紹介文
月に一度のブックレビューです。案内人は女優で作家の中江有里さん。年間300冊の本を読む中江さんが、幅広いジャンルからご紹介。あなたも夢中になれる1冊に出会えますよ!
■ライオンのおやつ:小川糸
人生の最後に食べたいおやつは何ですか――若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。 ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。 ――食べて、生きて、この世から旅立つ。すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。 Amazon内容紹介より
ライオンのいえというホスピス。シビアな話だけれども明るくてほんわりしているそうです。天国なような雰囲気のホスピス、人々、おやつにまつわる話なども出でくるそう。視点が死ぬ者本人の視点で書かれている分、確かに死に対する怖さが感じられるとのこと、幸せに死んでいくことなど、なかなか感慨深い作品であることが伝わって来ました。病気の話は苦手なので読むのを躊躇していましたが、読みたくなりました。話しながら司会の方うるうるさせていました。
■ほんのちょっと当事者:青山ゆみこ
ローン地獄、児童虐待、性暴力、障害者差別、看取り、親との葛藤…「大文字の困りごと」を「自分事」として考えてみた。「ここまで曝すか! 」と連載時より大反響の明るい(?)社会派エッセイわたしたちが「生きる」ということは、「なにかの当事者となる」ことなのではないだろうか。…みんなが隣にいる誰かへの想像力をもつようになれば、まわりまわって思いもかけない方向から、誰かがわたしの小さな困りごとを助けてくれる気がする。そういうのってなんだか素敵で、とてもふくよかな社会に思えるのだ。――「まえがき」より。
いや、ほんと深刻なテーマがずらりと並んでいますね。
経験しないとなかなか当事者の事として捉えることが難しいと思いますが、そこをあえて考えてみるという試み。他人に起こることは自分にも起こり得る。想像力をつけておき、いざという時の糸口になる、そんな一冊なんじゃないかなーと感じました。相談窓口なんかも掲載されているそうです。
■はぐれくん、おおきなマルにであう:シェル・シルヴァスタイン
シルヴァスタインの名作絵本『ぼくを探しに』(講談社刊)の続編、
『ビッグ・オーとの出会い』が、村上春樹の新訳で新登場!
「大きなマル」に出会った「はぐれくん」に小さな変化が……。
アメリカで40年以上愛され続けるロングセラー絵本。Amazon商品紹介より
「ぼくを探しに」の続編、村上春樹氏の新訳なんですね!
子供の時に読んだものでも、今の自分にも当てはめて読むことができたと中江さん。ずっと愛され続ける絵本は、いつ読んでもなにかしらの発見があるから楽しいのでしょうね。
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今月は三冊の紹介でした。一見バラバラに見えるようですが、「当事者」という面で共通性があるそう。自分のこととして想像力を働かせて問題を引き寄せる、そんな読書だったそうです。
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今年は2回ほどこのコーナーの紹介をしてみました。ブックレビューのコーナーが月一であるのは知ったのですが、いつ放送されるのか分からないがイマイチ。月末近くは注意深くテレビ欄チェックしてみます!