女子刑務所ライフ!:中野瑠美著のレビューです。
日本の女子刑務所の実態とは?
アメリカの女子刑務所のぶっ飛んでいる実話もすごかったけれど、日本の女子刑務所の内情も、本当にすごい世界だということが読むと分かる。
そして、何よりの驚きは著者の中野さん。覚せい剤取締法違反で4回、執行猶予1回、合計12年間の懲役を経験したという。
各地方の刑務所に入っては出てを繰り返しているので、芸能人(有名な犯罪者をこのように言うらしい)を知っているらしい。刑務所内ではこういういわゆる有名な犯罪者にトラブルを起こされては困るということで、かなり大切にされているらしいです。
どの話も目からウロコだったので難しいですが、印象的だったものをちょっとだけピックアップ。
女子刑務所ならではだなぁと思わされた刑務所内で作られている物。それは、100均等の「つけまつげ」。これは、ほぼ女子刑務所で作られているらしいですよ。
あと怖かったのは死刑場のある施設はやっぱり出るらしいです。
幽霊が・・・。
幽霊より怖いのは著者も言っていますが「人間」です。
いわゆるダンナ殺しの妻。刑務所に入って反省するどころか、すっきりしていて、明るくイキイキしているそうです。逆に子供を殺した人は、自分の犯罪を語ることもなく暗いとのこと。しかし、称呼番号=数字が事件を表す番号というシステムなので、判ってしまうらしいです。
先に書いたダンナ殺しが、テレビドラマの殺害シーンで「きゃっきゃ」怖がっているって言うのがまたなんとも....。人の頭のなかってどうなっているんだろう?と、思ってしまいました。
その他、女子100人が一斉に入るお風呂とか、いじめとか、運動会とか、刑務官との恋愛、性にまつわる話とか、僻み、妬みも渦巻き、かなり混沌とした世界で絶句することしばしば。
大阪出身の中野さん。大阪弁の語り口調なので、読んでいるというよりラジオか何かで聴いているといった雰囲気が余計にリアリティを増しています。
男子刑務所との違いや高齢化、またここに勤める人たちの離職率の高さなど、刑務所自体の環境整備がこれからまだまだ必要ということが感じ取れます。最近、逃走とかも多いですもんね。
ということで、刑務所ものをたまに読みますが、やはり刺激が強い。
表題に「ライフ!」の「!」にお気楽感があって「おちゃらけてるんか?」と思いましたが、軽めな口調でも言ってることはやはり経験者にしか語れれないものばかりで驚きの連続でした。
ひとつ引っかかるのは「あんな環境で反省なんかできるわけねぇ!」って言う著者の本音です。更生ということで色々な資格習得が出来る反面、心の問題はあまり重視されていないのかな。技術的な部分の他にメンタル的な援助も今以上に必要なのかもしれませんね。
「留置所」「拘置所」「刑務所」このあたりの違いが判らない方。
まずはここから説明してくれている本書で是非お勉強を!(笑)