刺繍小説:神尾茉莉著のレビューです。
刺繍が登場する小説って結構多いのですね!
読み物というより、私には鑑賞本といった印象が残りました。
内容は
“刺繍小説”とは―刺繍が登場する小説のこと。小説内の刺繍を、妄想を尽くして可視化する一章。「小説内にあったかもしれない」刺繍を見出す二章。読書に魅せられた美術家が刺す24編の刺繍は、“刺繍小説”を写真と言葉と図案で物語る。その他に、登場人物を動物化した刺繍、“刺繍小説”の名言集なども。 ...Google Booksより
とても心地よい空間に飾られている刺繍作品の写真の数々。
クッションカバーや布バッグなどにチクチクと施された刺繍が可愛らしく写されています。
・『女生徒』(太宰治)
「先生は、私の下着に薔薇の刺繍のあることさえ知らない」薔薇の刺繍
・『働かないの』(群ようこ)
鮮かなトルコブルーの布に刺繍した大輪の花
・『あの家に暮らす四人の女』(三浦しをん)
主人公が想像する、おじいさんを乗せたバス
すごいですよね。これらを刺繍として表現してしまうなんて!想像力、絵心、技術力、全てを集めてひとつの刺繍作品に仕上げる。ふぅ・・・憧れます。
それにしても小説に刺繍が出て来る場面って結構あるものなのですね。本書に登場した小説、わりと自分も読んだものが多かったのですが、結構忘れていたりしました。それだけ刺繍場面は日常に溶け込んでいたんだろうなぁ。
図案もしっかり掲載されているので、刺繍やる方にはきっと役立つのでしょう~←他人事(笑)
そうそう、いしいしんじ氏との何気ない日々のひとコマ的な話が心に残りました。
全体的に掴みどころがない不思議なテイストの1冊。
読むの?作るの?写すの?それとも想像の世界に浸るの?
読む人によって、色々な楽しさが見つかりそう!