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【レビュー】抱く女:桐野夏生

 

 抱く女:桐野夏生著のレビューです。

 

70年代の若者たちの日々を描く

 

70年代はまさに桐野さんが学生時代を過ごしていたとのことで、ご自身をモチーフにし、その時代の学生たちの気だるい日々が淡々と綴られている本作。

 

私の世代と違って、意欲的に活動しているといった、イメージがあるこの時代の学生たち。とは言え実は、70年代の若者たちが、どのような日々を過ごしていたのかは知らない。

 

舞台は吉祥寺。
登場人物が行き来する場所は、どこも馴染みのある場所ではあるものの、なんとなく今のようなはしゃいだ雰囲気とは一味違う街の匂いが漂う。

 

飽きずに雀荘に通い、漠然とした日々を過ごす男たち。
浅間山荘事件などを経て、何かが終わったという空虚な気持を持て余していたという時期だという。

 

当時の若者たちと今の若者たちを比べるのは難しいのだが、全体的に70年代の若者は「ほろ苦い」雰囲気をまとっている。雀荘で繰り広げられる風景はどこまでも気だるい。

 

ジャズ喫茶、麻雀、煙草の煙、酒、学生運動。
自分が想像していた世界のようでもあり、いや、ちょっと違うような・・・掴みどころがない。

 

男たちは女を軽く見て、物のように扱う。
路上を歩けば、品のない言葉が容赦なく降って来る。
女が普通に過ごし辛い時代であったということが容易にわかるシーンに憤りを覚える。

 

主人公・直子は、大学へ行かずに男たちとツルんでは、なんとなく流され、刹那的に身体の関係まで発展してしまうのだけれど、あくまでもそれだけ。好きでも嫌いでもなく寝てしまう。

 

やがて、直子は男たちに馬鹿にされていると感じ、彼らと距離を置くようになる。
そして、彼女は新たな出会い、新たな居場所を見つけるのだが・・・。

 

 

 

筆者と同世代の方はどう読むのか?知りたいところ

 

展開という展開があるわけではないが、グイグイと読ませるものがある。
しかし、世代差なのかな~、どうも私には入り込めないものがあった。

 

というのも、あまりにも自分は当時の時代背景に疎すぎたからというのもある。

「セクト」とか「内ゲバ」「ウーマン・リブ」「日本赤軍」等々、その時代のキーワード関連を、もう少し知ってないと、登場人物のたちの空虚な気持ちをうまく掬い取ることが出来ない。

 

結局、当時の若者たちの心境がどのくらいリアルに描かれているのかも判らぬまま読了。がしかし、雰囲気を知る意味では大変参考になった。そして、桐野さんの小説へ向かう原点を少しだけ知った気がします。

 

※装丁は草間彌生氏の<魂を求めて>

 

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