ベルサイユのゆり:吉川トリコ著のレビューです。
マリー・アントワネットの脇役たちの人生もなかなかのもの
(本が好き!の献本書評です)
著者の「マリー・アントワネットの日記」を読もうと決めていたのですが、こちらが献本にあがっていたので申し込み!…が、どうもこの本は「マリー・アントワネットの日記」の番外編ということで、やはり順を追って読むべきだったか?とプチ後悔。とは言え、流れを知らなくても、スルスル読めます。
本書の案内人は、フランス革命で虐殺されたマリー・アントワネットの女官長であったランバル公妃。彼女は亡霊となって語り掛けて来る。亡霊だけれどもすごくお喋りで全然怖くありません。
各章、マリー・アントワネットの周りにいた人々が登場します。脇役である人々にも生い立ち、キャリア等々、積み重ねてきた歴史があるわけで、そうした一人一人の人生観や本音に触れられたのは良かった。登場する多くは女性なのですが、王妃の髪結いだったレオナールは唯一の男性です。このあたりの変化球も楽しめました。
一番印象に残った人物は、マリー・アントワネットの娘、マリー・テレーズの話。革命の波乱の渦に巻き込まれた彼女の様子は、本当に重苦しいものがあり憂鬱なものであった。また、娘目線から見るマリー・アントワネットの姿はなかなか興味深い。
ライトな読み心地であるのだけれども、きっちり歴史に沿っていて勉強になりました。登場人物の名前が長すぎて最初は「げーやめてー!」と腰が引けていたのですが、相関図もあり助かりました。海外ものでネックになるのがこの名前問題!(個人的にです)前作を読んでいなかったので、一瞬、焦りましたよ。しかし、相関図&ランバル公妃が上手に案内してくれたので苦になりませんでした(笑)
ということで、番外編から読んでしまったのですが、ますます「マリー・アントワネットの日記」にも興味を持ちました。周りを固めてから、いざ、本丸へ。前作も必ず読みたいと思います。