木に持ちあげられた家:テッド・クーザー著のレビューです。
読むごとにもの哀しくなってゆくのだが・・・
もの哀しさがずっと漂っている。なんでかな~って読みおわって考えてみた。
登場人物はお父さんと息子と娘。
お母さんは出てこない。
そして、特徴的なのは、この3人はしっかり描かれているけど、どの絵も後ろ姿だったり、足元だけだったりと、人の表情が見えないというところがなんだかとっても不安にさせられます。
子供たちが成長しておとなになって世の中へ旅立っていく様子も、お父さんがだんだん歳をとっていく様子もなんだかえらくもの哀しい。こんなにすてきな場所にある家なのに・・・・。
やがて、お父さんもこの家を去り、<売家>の看板が立つ。
しかし、買い手が見つからず、やがて家は朽ちてゆき・・・・。
ずっと淋しい気持ちを道連れに読んでいたのだけど、最後に来て、とても力強い気持ちに変わった。
朽ちてゆく家を見るのは、そこに住んでいた家族の歴史を消してしまうような気がして、なんとも切なくなってしまう。
しかし、家は本当に朽ちたのだろうか?
自然の力とともにまだまだ息づいている。
もしかしたら、
あの頃の家族が、この家をもう一度見に来る日も近いかもしれない。
高く高く高く・・・・高いところから
強く強く強く・・・・自然と一緒に。
家は今でも生きている。
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