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【レビュー】わたつみ:花房観音

わたつみ:花房観音著のレビューです。

わたつみ

わたつみ

 

 

 観音さんの小説としては珍しい日本海側の田舎町が今回の舞台

 

先日読んだ桐野夏生著の「ロンリネス」が都会の高層マンションで暮らす主婦たちの不倫もので「うむ・・・」となったばかりのところに「また不倫かい!」と思わず叫びたくなった「わたつみ」。

 

「ロンリネス」と比べると、不倫に至る理由がこちらの方が腑に落ちるというか、もっと人間臭さがあったので入り込み易かったように思える。

 

それと、今回は京都ではなく日本海側の田舎町が舞台。ものすごい閉塞感の中で暮らす女性たちの悶々とした感情がページから滴り落ちてくるような雰囲気に気持ちが掻き立てられます。

 

 

 

 

かまぼこ工場で働く様々な年齢の女性たち。
都会で夢に破れ故郷に戻って来た京子を中心に、女性たちそれぞれの状況を描いた小説。

 

囁かれる噂や、好奇の目からは逃れることはできない狭い世界。
満たされない気持ちや嫉妬心が大きな塊となり、彼女たちは不倫や出会い系サイトに走る。

 

やぁー、桐野作品のタワマン主婦の話も「こんなことってリアルであるの?」なんて思っていたけれど、田舎の人々も環境は違えど、やっていることは同じと言うか、満たされないものを埋めるのに必死です。

 

本書では主人公の京子が何故東京から戻って来たのかがはっきり明かされないまま話が進むので、それが知りたくてついつい先を急いで読んでしまう。読者をしっかり引き付けて展開させるテクニック上手い。

 

いつか割れると分かっている花瓶のヒビに目をつぶって使っていたけれど、割れてはじめて現実を知り辿り着くといった感のラスト。一度は離れた都会にうんざりしながらも未練がある京子の選択も見どころだ。

 

ということで、地方の閉塞感小説は本当に最近多いですね。
私が読んだだけでも絲山秋子さん、山内マリコさん、窪美澄さん、こざわたまこさん、桜木柴乃さん、そして花房観音さんと、好きな作家さんたちがこぞって地方の閉塞感を小説化している。改めて取り上げてみるとなんて多いこと!「あれ?これどこかで読んだ雰囲気だな」っていうデジャブ的な感覚も、こうして列挙してみると納得ができる。読み比べしているわけではないのに集まって来る同類の小説に、若干のホラーを感じます(笑)