ジェントルマン:山田詠美著のレビューです。
特別な理由がなくても起こりうる「衝動」
ジェントルマンという言葉から 悪いイメージを想像する人は少ないですよね。
しかし もし貴方の周りに居る ジェントルマンの裏の顔がとても冷酷で残酷な犯罪を繰り返す人であったら…
「何でもトラウマに帰結させて、こんな人間が出来上がる…っていうのは本当は違うんじゃないの?」と山田詠美さんは語っていました。
なぜ性犯罪を起こしたかを 主人公のトラウマという形で完結する小説が多い中 特別な理由がなくても起こりうる「衝動」の世界を描いています。
本当に言葉の力を感じる作家のひとりだと思います。個人的に感じるのは、どんなに複雑な異性愛・同性愛の関係も根底はとってもシンプルなものなんだと、山田さんの作品を読めば読むほどその部分が明確になって行く気がします。