奇食珍食 糞便録: 椎名誠著のレビューです。
食べたら出す、ただそれだけのことなのに・・・
まだ今年は始まったばかりだというのに、「今年最もインパクトのあった本」と、はやくも宣言したくなるほど、うわわーーーぁあ!な1冊に出合ってしまいました。
いや、もうタイトルから、ある程度は覚悟していましたが(笑)
以前読んだ米原万里著の「マイナス50℃の世界」で、シベリアに同行した椎名さんのトイレの話がやけに印象的だったこともあり、これはと思い本書を手にしたのであります。
しかし、やはりこの本。
淑女な私たちが手にするのはちょっと勇気がいるというか、借りるという行為すらなんだかためらわれる。まぁ、借りてしまえばこっちのもんなんですけどね(笑)
第一章「世界の糞便録」、第二章が「奇食珍食」という構成。
出してから食べる話に移行するあたりがなんとも。
とにかくこの第一章がグロすぎたのか?第二章は相当気持ち悪いものを食べる話にもかかわらず、意外にも平常心で読んでしまったという自分の神経の図太さよ。
それとも読むうちに免疫力がアップしたのか!?
いずれにせよ、読むことで制覇してゆく気分を十分味わった。
さて、中国の「二ーハオトイレ」を皮切りにいよいよトイレ紀行が始まる。最初は余裕で読んでいたのだが・・・。
今回の話はかなりヤバイ。まぁこの本の読者はおそらく
圧倒的に男で、しかも親父系が多いと思うので
遠慮しないでいく。
ここでワタクシ大爆笑! 椎名さーん!
やっぱり女子が読むような本でないことが明確になり、ちょっと恥じらっていた自分を捨て、完全に親父モードへ、なんでもコイ!的に仕切りなおす(笑)
だがしかし・・・・そんな決意も虚しく、椎名さんがおっしゃっていた前振りに嘘はなく、この話は本当にヤバかった!(ゾワゾワガトマリマセン)
壁や天井がゆったり全体的に動いているトイレって・・・・。
うぅう。ページをめくる指が空振りしちゃうほどの動揺が。
他にも・・・
「南の島のジャングル野糞」では、排便しようとすると、「ブヒャブヒャ」言いながら豚がついてくる。「いまかいまか」と半円状に取り囲まれ、期待に満ちた大勢の豚たちにみつめられながらって!うぉおお。
こんな微笑ましいものから、ロシアの劣悪なトイレ事情の話まで、てんこモリモリ(便器の中も)でやって来る。
ほんと思わず息を止めながら読んだ部分が何度あったことか。最初は好奇心から、各トイレの写真もあればいいのになぁ・・・なんて思ったけど、いや、逆に掲載されたら具合が悪くなっていただろう。(白黒写真はありますが直接的なものはないです。)
鉄道トイレの外にタレ流す方式って本当にあるんですね。
シベリア鉄道のそれは凍っていましたが・・・。(写真あり)
はっきり言ってどの話もものすごく強烈ですが、ものすごく好奇心をそそられる話でもあり、そのひとつひとつがどれも印象的でした。
第二章の「食」の方だって、えずきそうになるほど奇妙な料理満載なんだけど、紹介していたらキリがないのでこの辺までにしておきます。
本当に今使っているトイレにお辞儀をしたくなるほど、感謝の気持ちをもってトイレに行くようになりました。なにも考えずにトイレに入れる当たり前のことが、いかに幸せなことなのか・・・。日本のトイレの進化は逆に恐ろしいと思えるほど。それが分っただけでも、辛かった?けれども、読んだ甲斐があった。
最後に警告です。
お食事前や体調がすぐれない時には読まない方がいいですよ!
あと、たとえ読みかけでも、他の本の用意も忘れずに。
何て言うの? 数分に一度、換気が必要とでも言うのかな(笑)