吹上奇譚:吉本ばなな著のレビューです。
<<本が好き!の献本書評です>>
感想:魔法をもたらすような秘密の書き方ってなんだろう?
いよいよばななさんの作品について行けなくなったかも?・・・と前半は不安になるほどスピリチュアル感が一杯で戸惑った。
家族、大切な人たちとの結びつき、死者とのつながりを通して、主人公が今ある状態にもがき、苦しみながらもやがて心がほどけてゆき希望に満ちてくる。
ここ最近のばななさんの作品の流れはある程度パターンがあったように思う。本書も概ね流れは一緒なのですが、そこにちょっとしたファンタジーやプチホラーの要素が加わり、現実の中に不思議なムードが漂う物語でした。
二卵性の双子ミミとこだち。交通事故で父が亡くなり母は長い眠りついたまま。その母を助けようと妹のこだちはその後行方がわからなくなる。
そこでミミはこだちを探し出すため吹上町に戻って来るのだが、彼女はこの町で奇妙な体験をする。
この部分が現実離れしていたり、得体の知れない怖さがあったりするのだけれども、幸いミミの周りの人々は人のために心を注げる善人が多く心が温まるシーンに救われる。
私的には病室でずっと眠り続ける母親のシーンが印象的だった。実際、家族が眠り続けているご家庭があると思うのですが、いつ行っても変化がない眠る人を見舞うということの切なさがどこまでも辛く果てしないものだとひしひしと感じさせられた。
ミミの母親がいつか必ず目覚めるだろうという想いを強く持って読み続けていたような気がします。
冒頭で書いた強いスピリチュアル感は読んでいくうちに薄まって来て、ばななさんの独特な世界と圧倒的な言葉に包まれて行った。
魔法をもたらされたような気持ちになったのかと言えば正直まだ解らないといったところですが、この話は続きがあるそうなので、追々ゆっくりその心地になれたらいいなーと思っています。
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