純喫茶、あの味:難波里奈著のレビューです。
あの店も、この店も、今あるうちに!純喫茶
誰にも「純喫茶」という言葉を聞くと、思い浮かべる喫茶店が何軒かあるのではないかと思う。
久々に訪れた町、昔入ったことのある店がまだ元気に営業していた!なんて風景に出会うと、嬉しいやら、懐かしいやら。純喫茶はそんな格別な感情を運んでくるものになっている。
純喫茶のなにが楽しいってメニューの一言に尽きる。
定番ものからその店独自のものまで、メニューを開けるまで分からない。
そのドキドキワクワク感はファストフードにないお楽しみだ。
純喫茶の定番と聞くと何を思い浮かべますか?
本書は定番メニューの数々を各店の歴史とともに紹介。
行きますよ~~
第一章 サンドイッチ、トースト
第二章 スパゲッティ
第三章 カレーライス、オムライス
第四章 クリームソーダ、珈琲
第五章 パフェ、フルーツサンド
第六章 コーヒーゼリー、プリン
第七章 ホットケーキ、フレンチトースト
目次を見ているだけでも、ナポリタンのダイダイ色とか、「クリームソーダと珈琲」という組み合わせだけで、珈琲を飲む父とクリームソーダに夢中になっている子という親子の姿が頭に浮かぶ。
また同じ料理や飲み物でもここまで違うものかと感じさせられる数々。
例えばクリームソーダ。色は舌が緑色になるメロン!と思いきやあの有名な神保町の「さぼうる」にいたっては4色もそろっている。イチゴ、ブルーハワイ、レモン、メロン。4人で行って、全員違う色を頼むとテーブルの華やぎがものすごいことに(笑)
一方、洋菓子のウエストは、真っ白なクリームソーダ。
無色透明、サイダーそのものの味だけという大人のクリームソーダ。
かと思えば、藤沢市にあるジュリアンのクリームソーダは特注グラスで2色のソーダ。これって恋人と一緒に?なんて妄想膨らませてみたり・・・。
しかし、このグラス、もう売っていないから割ってしまったら作れなくなってしまうという。
・・・といった具合に純喫茶はその店にしかない味があり、個々の味の記憶を残すものが多い。
インテリアから、食器に至るまで昔からの営業ということもあり、レトロな雰囲気を味わえるのも純喫茶ならでは。テーブルの上にあるあの丸いボール状の占い機とか、もう一度やってみたいな~。
そういえば、飲み会後にお茶をしたくなり、深夜の渋谷で探すもなかなか見つからず入ったのが純喫茶。トイレを借りることになったら鍵を渡され、ビル内のトイレへというシステムだったのですが、犯罪防止なのか?珍しい出来事だったので印象に残っています。
この先、どこまで純喫茶が残ってくれるか・・・あの店も、この店も、今あるうちに。
ホットケーキと珈琲のセットの頁をを穴が開くほど眺めながら、純喫茶へ行く気持ちを高めている次第です。