四年変組: 季巳明代著のレビューです。
物語を通して見る家族のかたち
こみねゆらさん絵の楽しい表紙から手に取った1冊。
「変組」ってことだから、可笑しなことがたくさん起こるんだろう。
・・・と思っていたが、どちらかというと子供たちの抱えている
悩みなどを扱ったもので、すごく笑えるとかそういうのではない。
むしろ、この本を読んでいたら、最近の小学生の家族の
多様性を感じずにはいられない。
8つのストーリーには、ひとりひとりの生活が綴られる。
有名人を新しいお母さんとして迎える少女。
母子家庭で母が多忙なため、妹の世話をする少女。
好きな男の子と可愛がっていたペットとの関係に悩む少女。
真面目一筋な少女の苦悩。
…等々、暗くなりすぎず、爽やかなタッチで描かれています。
また、子供たちを通して何かに気づく母親の姿なども描かれ、
子供たちの話にとどまっていないところも注目です。
最後にこの組の担任れい子先生。
元ピアニストの彼女もまたちょっと変わり者。
八重歯の彼女のお父さんは吸血鬼なんだって!(笑)
「変」っていうより、私には不思議ちゃんって感じだったかな。
「人とちがっていてもちっともかまわない、
それはあなたの個性なのよ」
作者の李巳さんが担任の先生に言われた言葉だそうです。
この素敵な言葉がこの作家さんの源になっているような
お話でした。