魔法のたいこと金の針:茂市久美子著のレビューです。
ちょっと不思議なお客さんがやってくる仕立て屋さんのお話
茂市久美子さん作×こみねゆらさん画の作品です。作者欄を見て「これは読まなければ!」と瞬時に思いました。お二人が一緒に作品作りをしたのは初めてでしょうか?これまで何冊かお二人の児童書や絵本を読んで来たので嬉しい限りです。
町はずれの小さな仕立て屋さんのまえに、
たいこのばちがおちていました。
落とし物のはり紙をしたところ.....、
雪のふる夜に、うけとりにきたのは、鬼の子。
鬼の子は、たいこをなおしてほしいというのですが.....。
6つの話が登場します。
鬼の少年は、仕立て屋さんにやって来て、鬼の家の宝だという「金色の針」を託して去って行きます。
その日から、仕立て屋さんの元に、ちょっと不思議なさまざまなお客さんがやって来て、お直しの注文をしていきます。
見たことのないような生地などに戸惑う仕立て屋。普通の針は使えないものばかり。
そこで、鬼の置いていった「金色の針」を使ってみると・・・。
6つの話の中で一番好きなのは「空飛ぶマント」です。
お直しの注文に来た少女が月の光から糸を紡ぐシーンがとても美しい。
月の光から紡ぐ糸! なんて、ロマンチックなのでしょう。
さて、この美しい糸で直したマントはどんな人が着るのでしょうか?
登場人物との関係性がお茶目。
最後まで夢のなかにいるような可愛らしいお話でした。
とにかく不思議なお客さんがたくさんやって来ます。
いつまでもこの物語のなかに漂っていたい、読み終わるのが惜しい気分に。
そして、こみねさんの描く可愛い小物の絵がなによりも癒される一冊でした。