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【レビュー】死のドレスを花婿に:ピエール・ルメートル

 

 

 死のドレスを花婿に:ピエール・ルメートル著のレビューです。

死のドレスを花婿に

死のドレスを花婿に

 

 

「その女アレックス」の原点なるものを読んでみた

 

「その女アレックス」を読む、読まないで迷っているうちに、図書館予約も長蛇の列になってしまい、んじゃ、この作家の別作品から雰囲気を感じ取ってみようと試みた。

 

なんとも後味が悪い読後感。
アレックスでも言われている、話をどんどんひっくり返してゆくという感じはこの話もそうなのだけれど、そのひっくり返し方が、どうも自分の中でいまひとつピンと来なかったのが正直な感想。

 

もちろん、こことあそこがこういう風に繋がってゆくのか・・・という面白さはあるのだけれど、なんだろうなぁ、不快感の方が先立って元来なら後半ほど読書ペースが上がって来るはずなのに、逆に読むのが苦痛になってスローダウンしてしまった。

 

「ソフィー」「フランツ」「フランツとソフィー」「ソフィーとフランツ」

4つの章で構成されていて、各章、視点を変わるので、目新しい発見をしながら展開を見守るという形だ。

 

キャリアウーマンだった彼女は結婚し、順風満帆の生活を送っていた。しかし、夫の死、母の死、そして自身の記憶障害によって、彼女の人生はどんどん狂気に満ちて行く。

 

そして殺人。
彼女は人を殺したことすらも記憶がない・・・。一体、どういうことなのか?

 

逃亡する。名前を変える。なりすます。再婚する。
彼女はどんどん衰弱し、いたたまれない姿になってゆく。
こんなことがいつまで続くのか・・・・。

 

 

 

最終的には、全てのことが明らかにはなるものの、なにか消化し切れないものが私の中に残った。ソフィーの不幸や異常さ、変質者の気持ち悪さばかりがクローズアップされて、その真相が判ったらおしまいという感じで、亡くなった人々のことはそっちのけ?

 

イヤミスなんてそういうものだと割り切ればよいのかもしれないが、なんとなく自分の中で引きずってしまった。この腑に落ちない感じは、昔読んだ沼田まほかるさんの「ユリゴコロ」のラストで感じたものに通ずるものがあった。

 

「その女アレックス」は、この作品より洗練された仕上がりになっているのだろうか?
すぐに手に取りたいとは思えなかった。しかし、多くの人々を魅了している作品だから、まずは読んでみないとアレコレ語ることはできない。いつか読み比べてみて、「やっぱり面白いよ!この作家!」と言ってみたい。