恐怖の緑魔帝王: 芦原すなお著のレビューです。
これから!って時にひざカックンされたような気分!
探偵ものはあまり読む方ではないのですが、
このシリーズは常々気になっていて、
機会があったらそのうち読もうと思っていた。
若干、受け身な態勢だったのだけれど、
『緑ずくめの怪人が仕掛ける「大東京緑化計画」』
なる内容とのことで、思わず飛びついてしまった。
緑ずくめの怪人!? 大東京緑地計画!?
なんだか奇妙で大掛かりな感じがツボです。
内容は少年探偵団の井上君とノロちゃんが訓練中に、
緑色の老婆に遭遇し、恐ろしい目に遭うという
話からはじまる。
一方、富豪の家では、美術品とそこの家の娘を
狙っているという二十面相からの犯罪予告状が届く。
緑の怪人、そして怪人二十面相。
この二つの怪人を巡って物語は展開する。
そこで明智先生と少年探偵団の出番となるのだが、
あいにく、明智先生は出張中。
さぁ、少年たちはどんな手段で怪人たちに挑むのか!?
全体的に深刻な事態になっていくものの、
おとぼけキャラの人々により、ほのぼのしてしまいがち。
おいおい、そんな変装で大丈夫か?
犯人に連れて行かれちゃったけど、あの人どうなんてるん?
・・・と、こっちが心配したり、焦りを感じたりするのだけれど、
みんな結構のら~り、くら~り、この雰囲気はなんなんだ!
これからという時に、ひざカックンされたような気分になるのも
まぁ、楽しいといえば楽しい。
こんな緊張感のない探偵ものははじめて読んだ(笑)
そうこうしているうちに事件は行方不明者も増え、
どんどん深みにはまっていく。
しかも緑魔帝王は、次々と都民が驚くようなことを
し続けている。
玉川上水の水の流れが、いっとき、真緑になったり、
某大学の赤い門が緑色に塗られたり、
不忍池には、緑色の鵜が多数観察されたり。
ひぇー、どこもかしこも、緑、緑、緑、怖ーい、不気味!!
まだまだいっぱい色々な緑化が東京で起きます。
どうなることやら?心配なりつつも無事収束
めくるめく展開、残りのページも少なくなり、
事件が収束するのか、かなーり不安になるのですが、
そこは明智先生の登場と少年たちのチームワークで、
難解事件もスルリと解決へ。
後半は意外な場所に舞台は移り、意外な事実が判明します。
とにかく話はどんどん進んで行き、深刻になって
行くにもかかわらず、登場人物たちの言動に終始
「笑い」があるような不思議な探偵もの。
レトロ感・子供感も満載なので、童心に戻って
駄菓子屋さんの片隅で読書したくなるような本だった。
ドタバタしながら、みんな頑張った、頑張った!
少年探偵団、万歳!だ(笑)