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【レビュー・あらすじ・感想】C線上のアリア:湊かなえ

 

 

C線上のアリア:湊かなえ著のレビューです。

☞読書ポイント 

ゴミ屋敷と化した叔母の家にあった金庫と日記。気になることが次々と出て来るので、読者も主人公とともに探ることが止まらなくなる。ゴミ屋敷、介護、嫁姑、人間関係等々、身近な社会問題を交えつつ、止まらないミステリーを堪能しよう。

 

C線上のアリア

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感想・あらすじ 

 

この表紙のカラー、なにかどこかで見た色合いだなぁ~と思っていたのですが、読んで納得。読みながらハッとさせられました。それはさておき、グイグイと飽きることなく最後まで読ませる作家さんですね。実は湊さんの作品を読むのははじめて。なんとなく知った気になっていたのはドラマや映画があったからでしょうか。読み終えて思うのは人気作家の実力をしっかり見せてもらったなぁ~と。

 

湊さんだからきついイヤミスを想像していましたが、ミステリー要素の高い内容でした。おおまかな設定は、ゴミ屋敷、介護、嫁姑、人間関係、そしてある事件という感じで、なかなかの重厚感。どれひとつ取り上げても難しい問題。それらをうまく織り交ぜながら、途中からは日記をもとに過去の出来事の謎に迫っていくという展開。

 

 

 

 

主人公である美佐は両親を事故で亡くし叔母の弥生の家で育てられた。大人になり実家を離れた美佐は、叔母の家がゴミ屋敷になっていることを知り、実家に戻り、しばらくの間片づけをすることを決める。その間、認知症が進んでいる叔母には施設に入ってもらうことに。

 

掃除をするうちに開かずの金庫を発見する美佐。中に何が入っているのか気になり、業者を呼び鍵を開錠してもらうとそこには.....。

 

また、叔母の日記を読み始めてしまった美佐。叔母と菊枝さんという女性はかつて「交換家事」をしていた。この日記が登場するあたりからなにやら不穏な空気が立ち込めてくる。そして人間関係を突き詰めていくと美沙のかつての恋人へと繋がり、こちらの世代の話も絡んでくるので色々忙しい(笑)

 

この話で「交換家事」っていうのがちょっと面白い設定だなと。互いの家の家事を交換することによって姑の態度がガラッと変わったりする。他人だからって言うのもあるけど、嫁姑問題って本当に根深いものだなぁと。結局、家事交換がもととなり、事件が起きてしまったりするんだけれど、これがまたミステリーの極みって感じで、思わぬ展開が待っていた。

 

 

 

 

そしてもひとつ。かつての恋人が今どんな人になっているのか、気になりますよねぇ~。美佐はそんな好奇心から再会へという流れになるのですが、この男性がまたなんだかイマイチな人なんだなぁ。よくわからない人っていうか。こちらの展開もモヤモヤ気になっていきます。

 

叔母の弥生さん夫婦は本当に仲の良かっただけに結末は残酷ではあったけど、弥生さんと旦那さんのラブラブぶりは微笑ましく、ほっこりする唯一の場面でした。

 

そんなこんなで介護色の強い作品をイメージしていましたが、やはりミステリーが勝るかな。確かに前半は介護の話がとてもリアルでしたが、最終的に印象に残ったのは、ふたりの女性の隠された過去。それを紐解いていくミステリーに夢中になっていた気がします。最後まで先が気になる引っ張り方はさすがでした。

 

ミステリはあまり読まない方なので、レビューの難しさを改めて感じます。ネタバレしないように.....とタイピングする手が何度も止まりました(笑)

 

C線上のアリア

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湊かなえプロフィール

1973年広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。2005年、第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選、07年、第35回創作ラジオドラマ大賞受賞。同じ年、第29回小説推理新人賞を「聖職者」で受賞。08年、「聖職者」を第一章に、その後の顛末までを描いた長篇小説『告白』を刊行。同作が2008年週刊文春ミステリーベスト10第1位、第6回本屋大賞を受賞する。「告白」は2010年6月、松たか子主演で映画公開。著作:告白(2008年8月 双葉社 / 2010年4月 双葉文庫)、少女(2009年1月 早川書房)、贖罪(2009年6月 東京創元社)、Nのために(2010年1月 東京創元社)、夜行観覧車(2010年6月 双葉社)、白ゆき姫殺人事件(2012年7月 集英社)(Amazonより)

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