月収:原田ひ香著のレビューです。

☞読書ポイント
感想・あらすじ
「月収」――なんとも生々しいタイトルじゃないですか。原田ひ香さん、最近、お金にまつわる小説が多いですよね。不景気な世の中だけに、こういう本についつい目が留まってしまう。
本作は22歳から66歳の女性たちの月収に着目し、彼女たちがどのようにしてお金を稼いだり、貯めたりしていくのかを追っていく連作短編集。
ちなみに以下のような登場人物。
【月収4万円の66歳】……年金暮らしで貯金を切り崩す毎日に、ある収入源が!?
【月収8万円の31歳】……専業作家を目指し、不動産投資を始める。
【月10万円投資の29歳】……普通の会社員が、親の介護を見越して新NISAを利用。
【月収100万円の26歳】……パパ活専業で、20代のうち1億円を稼ぐのが夢!
【月収300万円の52歳】……夫の遺産と株式投資で働かずとも暮らせてはいるが……。
【月収17万円の22歳】……元介護士。生前整理の会社を立ち上げる――?(Amazonより)
月収っていくらあれば満足できるのかな~って、素朴な疑問が浮かんでくる。もちろんあるに越したことはないのだけど、あってもなくても悩みが尽きないのは共通するものがある。
年金、少ないですよね。冒頭の月収4万の話に出て来る女性は離婚をし、一人暮らしをている年金生活者。育児中の娘にお茶をおごるシーンがなんともリアル。SサイズがMサイズか、瞬時に思いを巡らす様子がなんとも切ない。
そんな彼女がある収入源が。彼女の家の小さな庭が商売道具になるのですが、「へぇ~」という内容。ちょっと大丈夫か?と、心配だったけど。滑り出しは順調だった。しかしそうそううまい話はないわけで、やがてあっさり終わりが来るのだが....。

本作はお金の話が中心ではあるけれど、そこにはやはり人間関係が大きく横たわっている。夫婦、親子、男女、家庭環境等々、ひとりひとりの人生には必ずお金と人との関係、感情が否応なしにまとわりついてくる。そこがまたリアルなんですよね。
NISAとか不動産投資とか、最近よく耳にするものも出て来る。それなりの覚悟と勇気が要るなぁ~なんて思いつつ、自分はどうやってお金を増やしていくタイプなのかも考えさせられた。
つまるところ、やはりコツコツ働いて、願わくばそれが誰かの役に立ったり、喜ばれる。そんなやりがいが得られる仕事を続けられるのがベストではある。まぁ、そうは言ってもいろんな事情でそれが叶わないケースの方が多いわけで、だったらいくつか稼ぐ手段を作っておくことも大事だなぁ....という当たり前といえば当たり前のところに辿り着くのでありました。
本作の登場人物も時間の経過とともに自分なりの歩み方を見つけつつある感じです。後半、色々繋がってくる部分もあるので、ある意味すっきり読み切れました。ということで、お金についていろんな視点で考えることができる1冊だと思います。サクッと読め、少しだけ役に立つ1冊でした。
原田ひ香プロフィール
1970年神奈川県生まれ。2005年「リトルプリンセス二号」で第34回NHK創作ラジオドラマ大賞受賞。07年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞受賞。他の著書に『古本食堂 新装開店』(角川春樹事務所)、「ランチ酒」シリーズ(祥伝社)、『三千円の使いかた』、『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』(中公文庫)など多数。(Amazonより)
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