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うずまきぐ~るぐる 

*** 読書書評ブログ ***

【レビュー】犬のかたちをしたもの:高瀬隼子

 

犬のかたちをしたもの:高瀬隼子著のレビューです。

 

☞読書ポイント 

唐突にやって来る「え?」という状況。そこからはじまる人間関係の歪み。「そのままじゃまずいでしょ?」って思う読者を置き去りにして、物語は淡々と進んでいく感じにやられてしまう。一見普通のカップルもその裏を覗くとこんなこともあり得るかも?

 

そんなこと言われたって・・・と思わずつぶやいてしまう

 

今年に入って急接近した作家さんと思える高瀬隼子さん。気づけばすでに3冊目を読んでいた。芥川賞を受賞されたからというわけではない。なんだか小さな衝撃を繰り返し、目が離せなくなったって感じが強い。

 

ということで「犬のかたちをしたもの」。これもまた歪んだ人間関係なんだなぁ。簡単に言ってしまうと、彼氏が他の女性と関係を持ち妊娠した。妊娠した女性は産むけど、その子はあなたたちに育てて欲しいと申し出る。

 

思わず「え?」と言う展開。

 

 

彼氏とこの女性との間に恋愛感情はない。彼氏はむしろ彼女である薫のことが好きなのだけど、薫は婦人科の病気を患って以来、セックスはしたくないと言っており、そのことを含め付き合っていた彼は、お金で別の女性とセックスをしたという流れ。

 

そんな相手が妊娠してしまい、薫を呼び出し「子ども、もらってくれませんか?」と訴える。この唐突さと、常識という枠を軽く飛び越えてくるあたりにものすごい違和感を抱くわけだが、物語は淡々とした雰囲気で続く。

 

将来に関わる重大な問題であるにも関わらず、ドトールで話し合うあたり、そこだけが妙に軽く、妙に現実的でもある。このアンバランスな感じも高瀬さんの作品の特長とも言える。

 

しかも話し合いが終わって、子が産まれて来るまで、普通に会おうと言われ、その後もお茶したりするという。この歪みは一体なんなんだろう。

 

恋愛、愛情、セックスレス、出産、婚姻、男女差等々、色々なものが詰め込まれた作品であることはうっすら感じられる。しかし、これらのどれを核としているのかは不明。不明でいいのだとも思うのだけど、判らないだけにそこに不気味さが残る。

 

なんとなく高瀬さんの作風が見えてきた3冊目。作品同様、じわじわ、じわじわと、その個性的な作品の旨味が理解できて来た。さて、次作はどんな歪んだ人間関係を披露してくれるのだろうか。もう驚かないぞ!!(笑)

 

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