東京MXTVの5時に夢中!で紹介された本や映画を紹介します。新潮社の中瀬ゆかりさんが番組内のコーナーで、月に1度、3本ほど紹介しています。
以下は、おおまかなあらすじと、中瀬親方が話していたことを簡潔にまとめたものを掲載しています。親方はどんな本を紹介してくれるでしょう。早速見て行きましょう!
【関脇】やりなおし世界文学:津村記久子
■内容
ギャツビーって誰? 名前だけは知っていたあの名作、実はこんなお話だったとは! 『ボヴァリー夫人』は前代未聞のダメな女? 『郵便配達は二度ベルを鳴らす』はDQN小説!? 待ってるだけじゃ不幸になるよ『幸福論』。人が人を完全に理解することは不可能だけれど、それでも誰もがゆらぐ心を抱えてゆるし生きていく『灯台へ』。古今東西92作の物語のうまみと面白みを引き出し、読むと元気になれる世界文学案内。(Amazonより)
中瀬さん:
世界文学の名著は古典、児童文学、SFとかいろんなものがありますけど、そのいろんなジャンルから92冊を津村さんが読んで、その集大成をここにまとめてくださっている。
古典の名作っていつ読むかとか、早すぎる出会いもあるじゃないですか。反対に遅すぎて「もっと若い時に読んでおけばよかった」という、いろんなタイミングがある。名前だけは知っているけどあの名作は?とか、読んだんだけどイマイチよく解らなかったとか、いろんな名作との関わりがある。それを津村さんのものすごい作家の目で解りやすく説明してくれている本なんですね。
津村さんの手にかかったら本当にどれも読みたくなる。私も端から揃えていきたくなるっていうか、何度も読み直したくなるし、これ自体もエッセイとして面白い。読み終わって、元気になれる、パワーをもらえる、そういう世界文学案内になっている。絶対にお得ですので、是非読んでください。
【大関】Netflix ある告発の解剖
■内容
大物政治家の妻として恵まれた生活をしていたソフィー。だが、夫ジェームズの数々の秘密が暴露され、奈落の底に突き落とされていく。
中瀬さん:
40分くらいのものが6話なので、一晩で一気見出来る。最初は不倫スキャンダルだったんですが、途中からジェームズは性的暴行罪で起訴されて裁判が開かれる。イギリスの裁判の在り方なども面白かったんですけど、第3話ぐらいで「ええええええーー」となって、ラストで「ドッシーーーン」と。
これね、ほんと途中でやめられなくなる。特に3話以降がジェットコースターのように止められなくなる。たった一つの裁判のことなのにこれだけ面白く描き、構成も素晴らしい。一体どうなるのか、目の離せないドラマです。法廷ものです!
【横綱】八月の母:早見和真
■内容
愛媛県伊予市。越智エリカは海に面したこの街から「いつか必ず出ていきたい」と願っていた。しかしその機会が訪れようとするたび、スナックを経営する母・美智子が目の前に立ち塞がった。そして、自らも予期せず最愛の娘を授かるが──。うだるような暑さだった八月。あの日、あの団地の一室で何が起きたのか。執着、嫉妬、怒り、焦り……。人間の内に秘められた負の感情が一気にむき出しになっていく。強烈な愛と憎しみで結ばれた母と娘の長く狂おしい物語。ここにあるのは、かつて見たことのない絶望か、希望か──。(Amazonより)
中瀬さん:
今、私が最も注目している作家と言っても過言ではない。女たちの負の連鎖、例えば、貧困だったり、男に人生を変えられたりとか3代にわたる話は、ずっと負の連鎖を引きずりながら落ちていく。「こんなはずじゃなかった」っていう人生を選ばざるを得なかった母と娘の長く狂おしい物語が描かれている。
今回の小説は閉塞感とひっ迫感、どこにも逃げ道がない状態、生きていくことがこんなに辛い、運命に翻弄されていく女性たちの話。読んでいて胸が苦しくて苦しくて、でも、途中で絶対やめることが出来ない、読み始めたら徹夜必至です。素晴らしい作品でした。
******
本日の横綱の「八月の母」は、中瀬さんの話から、ものすごく辛いストーリーであることがひしひしと感じられました。小説の内容を話せば話すほど、キリキリするような感じで、これは自分のコンディションの良い時に読まないとメンタルにきそうです。「やりなおし世界文学」も面白そうですね。本との出会い、タイミングって確かにあるよなぁ。面白そうな作品を探すのにもよさそうな一冊ですね。
それではまた来月!