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【レビュー】受難華:菊池寛

 

 

受難華:菊池寛著のレビューです。

受難華 (中公文庫, き49-1)

受難華 (中公文庫, き49-1)

  • 作者:菊池 寛
  • 発売日: 2021/01/20
  • メディア: 文庫
 

 

感想・あらすじ 昼ドラ的な面白さ満載!菊池寛はやっぱり面白い

 

いやぁー菊池寛の小説、久しぶりだったけどやっぱり面白いなぁ。何と言ってもレトロな雰囲気が満載だし、当時の男女における結婚観が満載なのである。とかく単調になりやすい設定ではあるはずなのに、女言葉や男言葉で繰り広げられる会話の新鮮さ、いい塩梅で「ジャジャヤーン」と効果音が流れて来そうな衝撃的な出来事が投入され、どこまでも退屈させない展開に恐れ入る。これら今はない昼ドラ的な面白さがあるので、好きな人はどんどんページを捲ってしまうことだろう。わたしもほぼ1日半で読了しました。ちなみに本のタイトルの読み方は「じゅなんげ」だそう。ずっと「じゅなんばな」と読んでいました(^^;

 

大正時代は女学校を卒業したら結婚へまっしぐらだったいう時代。いわば女子の教育はここまでで充分だというご時世。そんな時代に生きた女学校の仲良し乙女3人組の結婚について描かれたのが本書。どの乙女にも受難が待ち受けている結婚。一体どんな出来事が!?

 

 

 

フィアンセと婚前交渉をし秘密の結婚をする照子。道ならぬ恋を胸に秘めたまま結婚した寿美子。結婚後に夫のとんでもない秘密を知ってしまった桂子。寿美子は結婚はしないと宣言していたが、他の二人は幸せな結婚を望み、最初はどちらも順調に進んでいたのだが、やがてどんどん雲息が怪しくなり、めくるめく展開へ。

中でも新婚旅行先で「処女じゃない」ことを打ち明けてしまったがゆえに、離婚騒ぎになった話など、いやぁ、今となっては信じられない話だなぁと感じずにはいられません。

 

また、結婚してしまうと男性には仕事があるけど、女性には愛しかないという生活だった時代。女性の選択肢があまりにも少ない。どんなにお金持ちと結婚したとしても、どこか満たされない気持ちを抱えていた女性たちが当時はたくさんいたのでしょう。

 

しかも、彼女たちはまだ若い。様々な能力やエネルギーを発散させる場もなく家庭に収まるには早すぎる。そんな鬱屈を一番表していたのは寿美子。彼女は当時「3人の女性の中で誰が好き?」という人気投票で圧倒的に人気が高かったそうだ。寿美子は結局結婚はしたが、その結婚生活がどんなものであったか、是非、本書を読んで楽しんで欲しい。

 

 

振り返ってみると、やっぱり最初から最後までドタバタしていたなぁ。ラストも今後のドタバタがまだまだ続いていくような....。でも、ちょっとお洒落な終わり方っだかも。

 

まだまだ読みたい菊池寛。「おほほほ」な世界は癖になる。獅子文六みたいに、どんどん眠っている作品を世に出して欲しいなぁ。

 

最後に私のことを「妾」、恋人のことを「愛人」と表記されているので、頭の中でその変換をするのが結構面倒だった(笑)

 

映画化

受難華は何度か映画化されたようですね。1926(大正15)年12月12日公開のものをネット上で目にしましたが、白黒で相当レトロ。でも、今観たらきっとある意味新鮮で面白いかもって感じました。

青空文庫

菊池寛の小説は青空文庫で読めるものもあるので、気になる方はそこから入るのもいいかもね。