じじばばのるつぼ:群ようこ
「人の振り見て我が振り直せ」とはよく言ったもの
世の中、幾つになっても困った人間は一定数いるわけで、「あーは、なりたくない」と思いながらも、「ひょっとしたら自分も同じようなことをしているかもしれない?」と、ちょっと背中が寒くなる。
「じじばばのるつぼ」では、そんな「あーは、なりたくない」と思わさられるじじばばがたくさん登場する。群さんが、主に外出した時に見たじじばばの困った行動に焦点を当てている。いや、本当、群さん、よく遭遇しています。
ココで言うじじばばは至って健康でパワーがある。だから人との衝突も多いし、感情を露わにしている。本当の老人(80代~)は、私的には護るべき存在で、とても穏やかで静かな人が多いというイメージがある。ココに出て来る人々は60代70代前半くらいかなと思う。このくらいの層で該当する困ったじじばばに遭遇する確率は確かに多い気がします。
それにしても群さん、ラブホに消えたと見られるじじばばの後について会話を聞いていたとは!(群さんも用があってその道を通っていたとはいえ・・・)
群さんが困ったじじばばに遭遇する機会が多いからなのか、少しじじばばに厳しい目を向けすぎている気がします。まぁ、愚痴本とも。
年を取ると人間だれしも色々なところが衰え、それに伴い迷惑をかけてしまうことも多くなるもの。それはそれで老化なんだからお互い様くらいの精神で。と、何故だかそんな気持ちにさせられてしまったり・・・。
でも、ほんとうに意地悪なじじばばや、小ズルいじじばばかを見極めなければならないときもありますからねぇ。
ということで、面白がって読んでいたんだけれども、途中からちょっとしんどかったかな。群さんの意図から外れるのかもしれないけれども、お年寄りならではの良い話なんかを混ぜてもらえたらもう少し印象は違ったかもしれないけれども、バーッと吐き出したままだとね、心がちょっと荒みます。
「おとこのるつぼ」「おんなのるつぼ」「じじばばのるつぼ」。
「るつぼ」シリーズはまだまだ続くのかな??