贅沢貧乏のマリア:群ようこ著のレビューです。
◆森茉莉と群ようこ
群さんの「れんげ荘」という小説を読み、
俄然、森茉莉さんのことを深く知りたくなって飛びついたのが本書。
森茉莉さんの本は実際数冊読み、積んでいる作品も結構あるのだが、
なんでだか読むのにすごく気合いがいるといった印象が強く、
なかなか踏み込めないものがあった。
ですが、今回群さんの作品からどんどん彼女の世界が気になりはじめ
埋もれていた森茉莉作品を漁っている今日この頃。
本書は100%森茉莉!というわけではなく、一つのテーマから
まずは群さんご自身の話があり、そのあと森茉莉さんの話へと
移行する。全部で12のテーマがある。
ゴミに埋もれた家の中で亡くなったと聞いてはいたけれど、
なんでだろう。わたしのなかで彼女の生活は美しいものに
囲まれているといったイメージが強い。
それもこれも、父・森鴎外に贅沢に育てられた印象が
強いからなのか、最終的には貧乏であったのかもしれないけど、
どこか優雅で幾つになっても「お嬢様」の空気感が彼女にはある。
そんなイメージもあったわけだが、本書を読むと
そうは言っていられない壮絶な部屋の様子なども窺える。
父親というより永遠の恋人であった鴎外。
モリリンの愛情は自分が一番と思いたい姉妹の争い。
結婚しても、子供が居ても、自分が一番、永遠の少女。
とはいえ、かなりの洞察力もあり、辛口、毒舌。
茉莉さんはもちろん結構なツッコミどころ満載な一族でもあり、
各々の気持ちは書籍化されているみたいなので、
追々この一族の本を読むことになるだろう。
とにもかくにも、なんかしらを貫き通す感じの強さと気高さ。
これはどの本を読んでもブレない彼女の印象。
本書をきっかけにまた一歩、踏み込んでいくときの
軽い興奮状態の中にいる。
茉莉の部屋へ入るか入らないか。
今は迷うことなくその扉を開く。
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