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【レビュー・感想・あらすじ】姑の遺品整理は迷惑です:垣谷美雨

 

 

姑の遺品整理は迷惑です:垣谷美雨著のレビューです。

 

感想・あらすじ 遺品整理から初めて知る姑の姿とは?

 

垣谷さんの小説を読むのはこれで4冊目。シリアスなテーマの小説が多く、暗い気持ちにさせられるのでは?と思って読むのですが、どの作品も最終的には人情味がある温かいものへと向かうので、最近は「何がってあってもきっと大丈夫!」という、ちょっとした安心感を持って登場する人々と向き合うことが多くなった。

 

本作もタイトルはピリリとした雰囲気満々ですが、嫁の亡き姑の見方に変化が起こり、なにかじんわり胸が熱くなる。それまでは自分の母親と姑を比較しては姑へ皮肉を言っていたのですが・・・。

 

 

 

さてさて話は姑が亡くなり、姑が独りで住んでいた団地に遺品整理のためにやって来た望登子が途方に暮れる場面から始まります。業者に片づけを頼むとお金がかかるので、望登子は自分で整理をしようと挑むのだけれども、片づけの作業は想像を絶するほどの「物」との闘いがあり、その処分に四苦八苦する。

 

息子である夫はたまに来て手伝うものの、思い出の品がなかなか手離せない。自分の家に荷物を送ろうとばかり。そんな夫にイライラしながらも、通いでコツコツ片づけるのだけが・・・。

 

ごみ出し、家具の運び出し、実際問題エレベーターがない建物だとそれだけでもう限界が訪れる。本書ではそのあたりの細かい細かい苦難を描いている。また業者に頼んだ場合などの料金等、もう本当に何をするにもお金がかかるのだ。

 

 

 

そんな望登子に大きな助け舟を出してくれたのは、ご近所の方々。義母の知人ということでみな高齢者であるのだが、ものすごい力強い助っ人なのです。なぜこんなにも親切なのか?そこには義母がご近所さんたちと築いてきた絆があったのです。生前の義母の様子をご近所さんから聞くにつけ、徐々に義母の印象が変わって来る。

 

一方、望登子の実家でも弟夫婦が遺品整理。実母と同居していた義理の妹から生前の母親の話を聞き、望登子は実母と義母をいま一度思い直す。この小説ではどちらの母にも見えない意外性が最後に来てひょっこり顔を出し、その人生をも振り返る奥行きがあった。

 

遺品整理をしながらあまりの物の多さに辟易し、部屋の中で義母へ向けて文句を言う嫁の姿。どこからともなくそれを見ている義母の気配。子供に残した大きな宿題のような遺品整理。時間も労力もかかるものではあるけれど、亡き人と最後に向きあう時間なのだなぁと改めて感じました。

 

4作読んで、この小説がいまのところ一番好きです。ちょっとしたホラー?ミステリな場面もあり、なんだかんだと目が離せない話になっています。新刊続々、波に乗っている作家さんだと思います。またタイトルにやられて読んじゃいそうです。

 

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こちらはリアルです。実用書として参考になると思います。

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